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第三章・6
「翠さま、おられますか? 開けますよ、いいですね?」
返事が、無い。
涼雅は、お叱りを覚悟でドアを開けた。
ソファには、翠が横になっている。
涼雅は、ほっと気を緩めた。
(おそらく、有島さまとのお見合いで、お疲れなのだろう)
寝室へ運んで差し上げようと、部屋へ入って驚いた。
何か、異様な香り。
(ハーブティーではない。何か、もっと……)
毒々しい、匂い。
涼雅は、急いで翠に駆け寄った。
「翠さま!」
「……」
返事をしようにも、唇が痺れて動かない。
植物の毒に侵され、翠の鼓動は弱く、呼吸は薄くなっていた。
(ああ、涼雅。僕、このまま死なせて)
「翠さま、お気を確かに。今、医師を呼びます!」
(最後に、涼雅に会えて、良かった……)
翠は、そのまま意識を失った。
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