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第五章・4

 食器の次は、グリーンだ。  こちらは、現物を買い求めるつもりで花壇にやって来た。  ネット通販だと、イメージと違うものが届く恐れがあるからだ。 「レンタル、という方法もありますが」 「せっかくだから、買おうよ。その方が、愛着も湧くよ?」  そんな翠は、大きなパキラやモンステラの鉢の他にも、小さな寄せ植えにも夢中だ。 「天井から、蔓性のグリーンを垂らせないかなぁ?」 「緑いっぱいのカフェになりそうですね」  注文を終え、配達をお願いした後、涼雅はやはり一つの鉢植えを翠に差し出した。 「きれいな樹姿」 「オリーブです。よろしければ、お傍に置いてください」 「ありがとう、涼雅さん」  そのオリーブだけは、配達を頼まず涼雅の車に乗せた。 「早く、傍に置いておきたいからね」  心から喜んでくれている翠に、涼雅は心満たされる思いだった。 「そういえば、カフェの店名はどうしよう」 「翠さまのお好きな名前を、付けてください」 「じゃあ、そのまま『グリーン』でどうかな。緑いっぱいのカフェだし」 「いいですね。翠さまのお名前も、表現できます」  そんなつもりじゃなかったけど、と翠は照れ臭そうに微笑んだ。 「ね、以前の僕も、こんな風に植物が好きだったのかな」 「はい。自然をこよなく愛しておいででした」  ふと、翠の思考が止まった。  そして、別方向に動き始めた。

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