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第六章 カフェ、オープン。

 カフェの準備は着々と進み、いよいよ明日がオープンの運びとなった。 「ああ、ドキドキして眠れないよ」 「もう23時でございますよ、翠さま」  寝室の大きなベッドで横になっても、目は冴えている翠だ。  しかし、と涼雅は困り顔だ。 「わたくしまでも、この部屋で。しかも同じベッドで寝かせていただくわけには」 「だって、リビングのソファじゃ涼雅さん、良く眠れないでしょう。体も大きいのに」  これまで涼雅は遠慮して、寝室は全て翠に明け渡していた。  自分は四肢を折り曲げて、ソファで横になっていたのだ。 「僕がいい、って許しているんだから、言うことを聞いて」 「はい……」  しかし、主人と同じベッドで休むなど。 (亡くなったお父様に知れると、化けて出られるな)  そんなオカルトめいた考えさえ、湧いてくる。 「ね、涼雅さん。手を握って」 「よろしいのですか」 「うん。そうすると、眠れそう」  これ以上、翠が睡眠不足になると、その体が心配だ。  涼雅は、白くて小さい彼の手を取った。 「涼雅さんの手は、大きくて温かいね」 「恐れ入ります」  やがて静かな寝息が深くなり、翠は眠ってしまった。

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