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第七章・4
スタッフ間の休憩交代の時刻を少しずらして、翠は青海と一緒にチョコを食べていた。
「青海くん、さっきの話なんだけど」
「あ、やっぱり気になる?」
コーヒー片手に、青海は涼雅について語った。
手の空いている時は、いつも翠に目を配っていること。
翠がピンチの時は、すぐさま駆け寄って代わりに対処すること。
そして、そんな彼の眼差しが、常に真摯なこと。
「これだけ大切に扱っている相手には、普通あれでしょ。恋してるでしょう」
「そ、そうかな」
でも、と翠はまだ疑念を持っていた。
「涼雅さんは、僕のことを、その。主人だったから、大事に扱ってくれているだけなんじゃ……」
周囲には、翠の素性は秘密だ。
破産した、元・金満家の息子ということにしている。
「以前、うちで働いてくれていたから、だと思うんだけど」
「それだけで、翠さまのことをこんなに一途に面倒見るかなぁ。やっぱり、愛だよ。愛」
それで、と青海の目がニヤけた。
「したの? キスとか」
「してないよ!」
「じゃあ、しなよ。翠さまも、能登さんのこと好きなんでしょう?」
「え!?」
翠は、固まってしまった。
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