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第八章・3
パンを食べ、紅茶を飲み、サラダをつまむ、涼雅の唇。
(なぜだろう。ドキドキする)
彼の唇が、ひどくセクシーに見えてくる。
(もう。青海くんが変なこと、言うから)
解ってる。
僕は、涼雅さんを意識してるんだ。
『したの? キスとか』
『してないよ!』
『じゃあ、しなよ。翠さまも、能登さんのこと好きなんでしょう?』
青海との会話が、思い出される。
『キスくらい、もう済んでると思ってたけど。まだかぁ』
僕は、涼雅さんのことが好き。
(好きだったら、キスするんだよね。普通)
でも僕は、普通じゃない。
キスのことを考えるだけで、息苦しく……。
(ならない!?)
翠は、口づけの相手が涼雅なら、体に変調をきたさない自分に気が付いた。
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