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第九章・5

 翠は、丸一日眠り続けた。  うなされ、ひどい汗をかいた。  見る夢は、思い出したくもない顔と、その行為。 『大人しくしろ!』  太い指が、荒々しく体内をかき回す。 『さ、本番といこうか』  グロテスクな肉茎が、貫いてくる。 『ナカ、ひくひくしてる。気持ち悦いよ、翠くん』  汚れた精が、体を蝕む。 「いやだ、あぁ! 誰か、助けて! 涼雅ぁ!」 「翠さま、こちらへ。ここへ、戻ってきてください」  そんな翠の手を取り、涼雅はただ祈った。  彼の声が聞こえたのか、翠は次第に落ち着きを取り戻していった。

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