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第九章・7

   僕は、生きている。  一度は死にかけたはずなのに、僕は今、生きている。  そして、こうして涼雅にいだかれている。  肌をさらし、体を抱かれる。  有島にされた時は、あんなにも汚らわしかったはずが。  翠は、涼雅に同じことをされても、ただ安らぎの中にいた。 「有島さま……」  思い出した。  僕は、あの方に犯されたのだ!  思わず身をすくめた時、涼雅が強く抱きしめてくれた。 「さあ、翠さま。参りましょう」 「ダメだよ。僕、僕……!」  体を、台無しにされた。  だからもう、涼雅とは……。 「翠さまは、汚れてなどおられません。ですから」  ですから、わたくしと口づけを。 「涼雅」  翠は、涼雅に夢中でキスをしていた。  そうすれば、身が、心が清められる思いだった。

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