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第十章 少しずつ前へ
バスルームの中、堂々としているのは翠の方だった。
涼雅はタオルで前を隠し、ただ恐縮して隅に立っていた。
「涼雅も来て。一緒に、シャワーを浴びようよ」
「翠さま。少々、はしたのうございますよ」
それでも、この若き主人に命じられれば、従わざるを得ない。
涼雅は、シャボンで泡だらけになった翠を、シャワーの湯で流した。
「ふふっ。くすぐったいな」
涼雅も、洗ってあげる!
そう言うと、翠はボディソープをスポンジに泡立てて、涼雅をこすり始めた。
「いえ、あの! 翠さま、もったいない!」
「いいから、いいから」
しかし、さすがにその内股に手を伸ばしかけた時、翠はためらった。
「翠さま、大丈夫でございますか?」
有島に乱暴されたことを、思い出したのかもしれない。
そう、涼雅は危惧した。
だがしかし。
「……涼雅の、って。どんな形してるの?」
「え!?」
「見せて」
「いや、それは、その!?」
まさか、翠が性器に興味を持つとは思わなかった、涼雅だ。
少々、いや、かなり焦った。
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