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第十一章 誓い

 デートの当日は、梅雨の中休みで良く晴れた日になった。 「ああ、嬉しいな!」 「良いお天気になりました」  この日が、翠さまの心をお慰めすることになれば。  そう、涼雅は考えていたが。 「ね、涼雅。今日は、デートなんだよね」 「そ、それは」  いや違う、と言うには、翠の喜びようは半端ではない。  涼雅は翠のために、笑顔で返した。 「初デート、でございますね」  その言葉に、翠は頬を染めてうなずいた。 「うん!」  それで、と涼雅は訊ねた。 「どこへ、参りましょうか」 「遊園地に、行ってみたいな」 「遊園地、でございますか!?」  翠のことだ。  植物園やプラネタリウムなどを予想していた涼雅だが、まさかの遊園地が飛び出した。 「一度、遊んでみたいなぁ、って思ってたんだ」  なるほど。  翠の父は、遊園地のような大衆娯楽施設に、翠を送り出すような人間ではない。  18歳になるまで、全くの未経験だったのだろう。

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