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第十一章・2

「初・遊園地、でございますね」 「うん! 楽しみ!」  では、と涼雅はアクセルを踏んだ。  車内での翠は、賑やかだった。  タブレットで検索した目的地を眺め、涼雅にいろいろと話しかけてきた。 「すごいよ。一番人気のあるアトラクションは、2時間も待たなきゃならないんだって」 「お昼は、園内で食べることになるよね。どのレストランがいいかなぁ」 「大きな観覧車! これは絶対に、乗りたいな」  翠の一言ひとことを、涼雅は嬉しく聞いていた。 (こんなに快活に振舞われる翠さまは、久しぶりだ)  いや、今までで最も賑やかかもしれない。  坂城の屋敷の中にいる時は、否が応でも落ち着いた立ち居振る舞いが求められていた。  父の前でとなると、なおさらだ。  しかし、今は外の世界にいるのだ。  傍にいるのも、涼雅だけ。 (開放感を、味わっておいでなのだろうな)  無邪気にはしゃぐ翠は、また違った魅力にあふれている。 「翠さま」 「何、なに?」 「……いえ、何でもございません」  惚れなおした、との言葉を、涼雅は胸で温めた。

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