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第十二章・2
「僕、一人エッチとかするけど。翠くんも、する?」
「一人エッチ?」
ああ、と青海はうなずいた。
翠は、いいところのお坊ちゃんだったのだ。
こんな下世話なことは、知らなかったに違いない。
「一人でさ、ここを弄ったりして抜くの」
「え……!?」
内股に手をやった青海に、翠は驚いた。
自分で、自分の性器に触れるの!?
お風呂でもないのに!?
「発情抑制剤の効き目が薄いときって、どうしてもあるじゃん。でも、そんなときに限って、彼氏が傍にいてくれないんだよね」
「う、うん」
「だから、自分で処理するんだ。あ、でも翠くんは大丈夫だよね。能登さんが、いつも居てくれるから」
青海は、声をひそめた。
「能登さんと、エッチした? 遊園地から帰った後に」
「し、してない」
「意外に奥手なんだね、能登さん。翠くんから、誘ってみれば?」
「うん……」
休憩時間が終わったので、話はそこまでになった。
だが青海の言葉は、翠の頭から離れなかった。
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