80 / 140
第十二章・4
「お疲れ様、翠」
「涼雅、お疲れ様」
カフェを閉め、スタッフが帰り、二人きりになった店で、互いに声を掛け合った。
『お疲れ様でした、翠さま』
以前なら、こんな言葉が掛けられるところだ。
だが、今は違う。
新しい関係に、翠はすっかりのぼせていた。
青海との会話に、火照っていた。
「ね、涼雅。一緒に、お風呂に入ろうよ」
「は、恥ずかしいな」
「いいから、いいから。お願い」
こう言われると、涼雅は弱い。
以前も一度、一緒にバスを使ったこともあるので、今回もまた了解した。
翠が、何を企んでいるかも知らないで。
ともだちにシェアしよう!