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第十三章・3

『意外に奥手なんだね、能登さん。翠くんから、誘ってみれば?』  そんな青海の言葉を、翠は思い出していた。 (僕から誘えば)  有島さまには、無理やりセックスさせられたんだ。  でも、僕の方から行動に移せば、大丈夫かもしれない。  少々、震えがくる。  だが、このままでは、いつまで経っても涼雅とは結ばれないのだ。 (それだけは、嫌だから)  決意の表情で、翠は涼雅に詰め寄った。 「青海くんがね、言ったんだ」 『能登さんと、エッチした? 遊園地から帰った後に』 「僕、涼雅とならエッチしたい」  そんな翠を、涼雅は優しく抱き寄せた。 「愛してるよ、翠」 「涼雅」  初めて、言ってくれた!  涼雅が、僕を愛してるって、言ってくれた!  それだけで翠は、たとえようもない喜びに包まれた。

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