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第十四章・6

 挿れた時と同じくらい優しく、涼雅は翠の体内から去って行った。 「ね。また、したい」 「明日も仕事だから。また、今度にしよう」 「ちぇっ、残念」  翠の表情は明るく、笑顔だ。  本当に良かった、と涼雅は胸をなでおろしていた。  その体をウェットティッシュで清めてあげながら、一息ついていた。 「涼雅、心配してくれてありがとう」 「翠、心の具合は本当にいいんだな?」  その問いには、うなずく翠だ。 「僕、有島さまのことを思い出すかも、って不安だったけど」  だけど、心配は無用だった、と答えた。 「夢中で、そんなこと考える余裕、なかったから」  そして、涼雅の腕に手を絡ませた。 「すごく、素敵だった……」 「私も、夢中だったよ」  愛らしかった。  美しかった。  我を忘れた。  そんな甘いささやきを零しながら、涼雅は翠にパジャマを着せた。 「さ、できた。今夜は眠ろう」 「うん。おやすみなさい」 「おやすみ、翠」  二人、抱き合って眠った。  甘く熱い余韻を感じながら、眠っていった。

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