98 / 140

第十四章・7

 翌日のカフェで、青海は違和感を覚えていた。 「翠、ミントティーとカモミールティーを、一つずつ」 「うん」  涼雅と翠、こんなありふれた会話なのだが、どこか違う。 (何か、あったのかな)  どこがどう、とは言いにくいのだが、しいてあげれば、距離感。 「ぐっと、縮まった気が、するんだよね」  休憩室で、青海は翠にそう持ち掛けていた。 「何か、あったの?」 「……あった」 「もしかして……、エッチした?」 「……しちゃった!」  わぁわぁきゃあきゃあと、二人はソファで転げ回った。 「そっか、おめでとう!」 「ありがとう!」 「どうだった? 優しくしてくれた?」 「すっごく、優しかった」  うんうん、と青海は何度もうなずいていた。 「能登さん、恋人を大切にするタイプだよね」 「青海くん、いろいろアドバイスを、ありがとう」  そんな翠に、青海はまた別の表情を見ていた。 「翠くん、何か変わったね」 「僕が? どんな風に?」 「こう、強くなった気がする」  その言葉に、翠は心を打たれた。

ともだちにシェアしよう!