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第十五章・2

「涼雅、今いろいろ心配してくれてるでしょ」 「ん? うん……」 「案ずるより産むが易し、っていうでしょう。まずは、会ってみようよ。お父様に」 「翠が、そこまで言うのなら」  軽やかな翼が、その背中に生えたような翠の物言いだ。  その明るさに、前向きな姿勢に、涼雅は賭けた。 (旦那様が理不尽なことをなさったならば、私は翠を全力で守ろう)  それだけは、ゆるぎない決意だ。 「ね、涼雅」 「何かな」 「正直に言えば、少し怖いよ。僕」 「それは、仕方のないことだ」  だから、おまじないを頂戴。 「キス、して」 「キスをすれば、翠は無敵になれるのかな?」 「そうだよ。お父様にだって、負けないんだから」  では、と涼雅は翠に口づけた。  不思議。  涼雅とキスすると、本当に勇気が湧いてくる。 (僕は、絶対にお父様に屈服したりしない)  翠もまた、涼雅に賭けていたのだ。

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