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第十七章 愛の言葉
「ん……?」
「すまないな。起こしたか」
翠は、気づくとベッドの上に横になっていた。
涼雅がそれに、パジャマを着せようとしていたのだ。
「僕、眠っちゃってたんだね」
「疲れたんだな。頑張ったから」
本当に、よく頑張った。
涼雅は、横たわる翠の頬にキスをした。
その頬を、大きな手のひらで包んだ。
「立派だったぞ。旦那様の前で」
「怖かったよ、僕」
でも、涼雅がいてくれたから。
涼雅が傍についていてくれたから、頑張れた。
翠は、頬に当てられた涼雅の手のひらを、そっと握った。
「ありがとう、涼雅」
「御礼を言うのは、こちらの方だな」
涼雅は、頭を掻いた。
「突然プロポーズなんかして、すまなかったよ」
「驚いた!」
でも……。
でも、それ以上に嬉しかった。
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