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第十七章・5
「涼雅。それは、何?」
「潤滑剤だ。挿入の衝撃を、和らげてくれる」
翠は、蕾に塗り込められるそれに、少し震えた。
(有島さまが使ったものと、同じなんだ。きっと)
それを思うと、やはり苦しくなってくる。
動悸がし、変な汗が出てくる。
「ね、涼雅。手を握って」
「いいよ」
片手で翠の手を握り、涼雅は彼の秘所をほぐしていった。
そんな涼雅の様子を、翠は顔を上げて見ていた。
大丈夫。
今、僕を弄ってるのは、涼雅なんだから。
「翠」
「ん?」
「苦しくないか?」
「ん……、少しだけ苦しい」
無理は、しない。
嘘は、つかない。
翠が涼雅と愛しあう時の、約束事だった。
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