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第十八章 過去を乗り越えて
梅雨も末を迎え、時折激しい雨が降るようになっていた。
「あ、雷だ!」
雷鳴に、翠が耳をふさぐ。
「翠くん、雷が嫌いなんだね」
青海が、笑いながらティーカップを下げる。
そんな、午前のカフェ。
雨のせいか、客足は鈍かった。
それでも出勤前の朝からモーニングを注文する客もおり、そこそこの賑わいは見せていた。
涼雅からプロポーズを受けたことは、青海にはまだ秘密だ。
『旦那様の、正式なお許しが出てから、公にして欲しい』
それが、涼雅からの願いだった。
(お父様がお許しくださらなくても、僕は涼雅と結婚するんだけどな)
慎重な涼雅の意見を少し不服に感じながらも、翠は言いつけ通り黙っていた。
静かな音楽の流れるカフェに、ゆったりとした時間が流れる。
そこへ、静寂を破る人間が現れた。
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