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第十八章・2
「へえ、ここが翠くんのカフェ。なかなか、良いじゃない」
「いらっしゃいませ」
大きな傘をお付きの者に畳ませ、店内を見回すその姿。
涼雅は、一瞬にして臨戦態勢に入った。
(有島!?)
翠に耐えがたい過去を植え付けた、張本人。
あの有島が、カフェにやって来たのだ。
さっ、と青ざめた翠を、涼雅はカウンター内に呼び寄せた。
「しゃがんで、隠れていてもいい」
「う、うん」
有島はといえば、相変わらず傍若無人に振舞っている。
「ははは! まるでジャングルだ。天井からも植物が生えてる」
涼雅と翠の様子から、妙な雰囲気は感じ取った青海だが、ここはお客様。
有島を、席に案内した。
「ここのお勧めは、何?」
「はい。ハーブティーがお勧めです。アイスハーブティーも、ございますよ」
「じゃあ、適当に見繕ってよ」
「かしこまりました」
そこで青海はカウンターを見たが、肝心の翠の姿がない。
それもそのはず、しゃがんで隠れてしまっているのだ。
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