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第十八章・4

「そもそも、君は翠くんの何なの? 『翠』だなんて、やけに馴れ馴れしいけど」 「婚約者、です」  それには、青海が驚いた。 (翠くん、能登さんと!? いつの間に!?)  しかし、素直な言葉が口から出てきた。 「おめでとうございます、能登さん!」  そして、翠くんも! 「水臭いなぁ、翠くん。教えてくれれば良かったのに!」  カウンターを覗き込んだ青海に、有島が彼の居所を知ってしまった。 「そこに隠れていたのか」  カウンター席に掛け、有島は翠に声をかけた。 「出ておいでよ。いい所に、連れて行ってやるよ」  冗談じゃない。  どこに連れていかれて、何をされるか解ったもんじゃない。  それでも翠は精一杯の勇気を振り絞って、細い声を出した。 「お帰りください」 「客に、帰れと? 何てカフェだ、ここは!」  いいから、お茶を出してよ。  有島は、長居をする気でいた。  そして翠を、我がものにするつもりでいた。

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