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第十八章・8

「何か、大変なことがあったみたいだね」 「青海くん。騒いで、ごめんね」 「いや、いいけど。それより、能登さんと結婚するって、本当?」  あ、と涼雅が口に手を当てた。  翠には伏せておけ、と言っておきながら、自分が暴露してしまうとは! 「涼雅、もういいよね」 「ああ。青海くんは翠の親友なのに、隠していてすまなかったな」  すると、青海以外のスタッフからも拍手が沸いた。 「おめでとう、坂城くん!」 「おめでとうございます、能登さん!」  ありがとう、と翠は涙声だ。 (翠は、このカフェでも人気者だからなぁ)  明るくて、心優しい翠。  結婚しても、独り占め、というわけにはいかなさそうだ。 「翠。体調はどうだ? 少し、休憩室で休んで来た方がいい」 「でも」  それには、青海がお目付け役を買って出てくれた。 「僕が、一緒にいます」 「それは、ありがたいな」  なにせ、あの有島と対面したのだ。  後になって、どっと疲れが出てくるかもしれない。 「本当に、よく耐えた。よく頑張ったよ」 「僕、また一つハードルを越えたね」  うん、と涼雅は翠の髪を撫でた。  一歩一歩前進してゆく、成長してゆく少年を、いたわった。

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