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第十九章・2

(お父様。何をお考えか解らないけど)  だけど、と翠はハーブティーを淹れていた。  レモンピールに、レモンバーム。バタフライピー。  爽やかな味わいの、翠特製ブレンドだ。  心を込めて、大切に淹れた。 「どうぞ、お父様」 「うん」  コーヒー党の父だが、翠の淹れたハーブティーの入ったカップを、目を細めて眺めた。 「美しい色だ」 「ありがとうございます」 (大丈夫かな。お父様、味わってくださるかな)  翠の心配は、杞憂に過ぎなかった。  武生は実に優雅な手つきでカップに口をつけ、ハーブティーを飲んだのだ。 (カップが安物だ、とお叱りを受けるかと思ったが)  涼雅は、胸をなでおろしていた。  そして、翠と涼雅の二人が見守る中、武生は満足そうにカップをソーサーに戻した。 「美味い。実に、美味い」 「ありがとうございます!」 「翠、精進したんだな」 「はい」  翠の目には、感激で涙がにじんできた。

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