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第十九章・7

 正直、翠には家庭でゆっくりして欲しい。  家政婦さんを雇って、家事は任せるつもりだ。 「私に収入があるんだから、翠を働かせると旦那様が良い顔をしないだろうなぁ」 「僕は、嫌だな。今まで通り、カフェで働きたい」 「大学に進学しても、いいんだぞ?」 「それは魅力的だけど。僕、大勢の人にハーブティーを淹れてあげたいんだ」  世の中には、疲れた人が大勢いる。  そんな人たちに、心がぽかぽかあったかくなるお茶を、淹れてあげたい。 「僕は、涼雅のおかげで疲れた心を癒すことができたんだ。今度は僕が、人の心を癒してあげたい」 「翠、大人になったな。立派になったな」  涼雅は、翠の手を取った。 「ひとまずは、明日。婚約指輪を見に行こう。翠のお母様の指輪に負けないような、美しい指輪を」 「ありがとう、涼雅!」  涼雅は、翠の薬指にキスをした。  そして、その唇に、キスをした。  温かな熱を分かち合い、ぬくもり合った。

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