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肌理の細かい肌が淡く染まり、まるで湯気が噴き出してしまいそうな状態。
オニキスの瞳が揺らぎ、いまにも泣いてしまわれそうで。
「お顔がほんのり赤くなられて。
いけませんね、熱がおありなのでは?」
覗き込むと、ますます赤くなられる。
そんなに体調が良くないとは一大事ではないか。
そうだ。
まずは熱を測らねば!
ぴとっ。
考える間もなく額を重ねた。
『…………っ』
息を詰める気配がした。
通った鼻筋と、青い影を落とす長い睫毛。
恐る恐る開けた目は、艶やかな闇。
間近で拝見する雫さまは、まるで総てのものに怯える小鳥の雛のようだ。
『は、はううう……っ』
可愛らしい唇は、確かにそう動いた。
「雫さま?」
華奢な体が傾く。
「雫さまっ!?」
ぽふん……っ。
慌てて腕の中に引き寄せた体は、軽かった。
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