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第11話*
「だってそんなの…あまりにも残酷すぎる。
それは君の絵じゃないか…。君ほどのセンスと画力のある作家がどうしてそんな……。」
「…僕は作家ではありません。
あの人の絵を描くためだけに生まれました。
あの人は僕の父なんです。…紙の上では、ですが。」
話を聞くうちに、あまりにも酷すぎる扱いに
思わず涙が溢れた。
こんなに綺麗な絵を描いて、それもすごく輝いた瞳をして、それなのにこの子の描いた作品たちはみんな別の人間が書いたことにされているだなんて。
この子をまるで存在しないもののように。
「…ねえ、君はこれからどこか行くあてはあるのかな。」
戸惑うように身動ぐ君の
頰にべったりとついた晴れ空は
美しいようで、本物のようであって
本物とはどこか違う不透明感がある。
「……いえ。」
「それならーーー。」
もっともっと透明で、壮大な大きな空を
俺と一緒にたくさんみよう。
日が暮れて、また昇るその様を
飽きるほど何度も何度も。
「俺のアトリエで、一緒に絵を描かない?
……君の力が必要なんだ。」
「…!!」
「俺はカイリ。
…ついて来て、くれないかな。」
言葉も出ないくらいの美しい空を
君と一緒に描いてみたい。
「僕で……力になれるなら。」
俺よりも小さくて細いその手に、
確かに意志を感じた。
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