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第2話
だけど、その日はいつもとちがった。
身体が火照って、ずぅんとした灼熱した熱に包まれた。アキも半開きになった唇から絶えず、はぁはぁと荒い息が漏れている。
あついし、なにかがおかしい。
ちくちくした毛布が肌に触れてなんだかへんな気分がして、視界がぐにゃりとゆがんでみえた。ほの暗い室内はどこか湿ったような空気が漂い、触れた肌と肌がじんわりと汗ばむ。さっきまで、ひやっとするよるの空気はいつのまにかむせかえるように熱い。
それでも、僕らはよくわからなくて、感覚に身をゆだねた。
「ふぁっ、くすぐったいよ……」
ふたりで、ふふふと忍び笑いを漏らす。ぼくはお尻を突き出して、アキの上にまたがっている。
「にいちゃんのここ、かわいい」
「んっ、んぅ……、きもちいい。アキのまえよりおおきくなってるよ」
「そうなの? にいちゃんのはかわらないね」
クスクスと笑って、アキは包皮を押し上げたり、下げたりして僕のおちんちんを弄ぶ。ぼくはむっとしたけど腰をよじって、アキの先端にとろりとたれて膨らんだ雫を舐めとった。
それは、おひるのごっこ遊びの延長で、ゲームだった。ぼくが先に、ぴゅくぴゅくとアキの唇に迸ってしまった。またアキに負けた。咥えていた雁首をじゅっと吸われると、ごくりと喉が上下する音が響いた。アキは上体を起こし、僕のうえに乗りあげた。じっとりとした熱さと重みが伝わって、吐息がつんと尖った胸にふれた。
「兄ちゃん、め、つぶってよ」
「んっ……、なに?」
おずおずという感じで、生温かいものが唇にふれる。苦くて、とろみのある液が口の中にひろがった。
「これも、ちゅうっていうんだって」
「ちゅう?」
「うん、いっぱいしよ。ほら、テレビでしてたでしょ?」
さっき一緒に見たドラマだ。なんだかよくわからないけど、男の人と女の人が口と口をくっつけていた。じっとアキと画面をみていたら、まだ早い! とテレビの電源を切られた。
ちゅっちゅと音を立てて、アキは顔面にキスの雨をふらせる。それが、顔から、首筋、そして、うなじに移動してくる。
「……、ア、アキ。あっあっ、あっ……。くすぐったい。へんな、こえ、でちゃうよぉ……」
「にいちゃん、かわいい。なんだか、あかちゃんみたいだ」
そういうアキだって、ぼくの乳首を赤い舌先でペロペロ舐めている。ちゅうちゅうと吸って、突起に歯を立てる姿は、ちょっと凶暴な赤ちゃんだ。
「……んぅ、きょうはここでやめようよぉ」
おしりがかゆくなってきて、もじもじと腰をくねらせた。いつもならズボンと下着だけずり下げるだけなのに、暖房が効き過ぎたせいか、あついから脱いじゃおうとアキが言い出したせいだ。おたがいぬぎあいっこして、初めて裸になった。
アキは残念そうな顔で、ぼくの股間に触れるとちょっと驚いた顔に変わった。
「あれ? にいちゃんのおしり、濡れてる……」
「え……?」
「ほら、ぬるぬるになってるよ?」
触れた指を顔に近づけてくる。指と指の間に粘液のようなものが、たらりと落ちた。
「え、なんでっ……?」
「まって、調べてあげる。なんか、あまい匂いもする。ケーキみたい」
「あう……」
触角のようにうにうにと蠢いている。ペロペロと乳首をなめられ、アキのかたくなった股間のものが僕のおなかにふれた。ぷちゅぷちゅぷちゅ……と、ゆっくりと抜き差しされて、ほの暗い部屋に音がひびいた。
「エッチな音がするね……」
くすぐったくて、身をよじってしまう。ギシギシとベッドがゆれて、極力うごかないようにシーツをにぎった。そのままおしりをグネグネされて、そのくぼんだ部分の感覚がないことに気づく。
「はぁっ……、ふぁっ…、あっ、あっ、ゆび、いれるなよぉっ……」
「でもはいっちゃったよ。これナニ? コリコリしてるよ?」
ずぶずぶと興味津々な指は肉壁をかき分けてすすみ、こりっとした部分をちょんちょんとつつかれた。ぬるぬるの液体が、ふくろまで濡らしてしまう。体を覆いかぶせて、アキは疼きたつちくびを口にいれて、吸って、つついて、舌先で転がしている。ぼくの身体はびくびくと弾んで、飛び跳ねた。
「……あっ、あっ、あっ、……ん」
「しっ、にいちゃん、母さんがきたらどうするの? ああでも今日はおばあちゃんだから大丈夫か。上のゲストルームにいるから、たくさん声だしていいよ」
ぼくよりも大きな手のひらでふさがれたまま、ぼくは腰をひくつかせながらびくびくと達してしまった。もう、二本も太い指がはいってひろげられている。
ぐぐっと限界までよこにのばされて、むき出しのおしりはパクパクとひくついている。
「はぁ、ぁ、ぁ、……はぁ」
息をするだけで苦しかった。身体があつい。なにがなんだかわからなくなってきた。
「にいちゃん、あまい」
足を持ち上げられ、アキの息が激しくなる。
指が抜かれたとおもったとき、なにか硬くて重いものがおしりのあなに感じた。まるくて、きばったそれはゆっくりと狭穴をおしひろげ、徐々に道をひらいた。抽送の深度をしだいに深めながら、なかを埋めていく気がした。
「……え、あっ、あき、なんか、なんかはいってる」
上体を起こしてみると、ぼくの股間にぴったりとくっついている、アキがいた。
「……うん、はいっちゃった」
ぐちゅりと卑猥な蜜音が耳を打った。
まさか、と思った。
ぼくとアキがつながってる。
「え……、ひあぁ」
「……んっ」
アキの汗ばんだ額や首筋に口をあてがい、身体がゆれた。動くたびに、熱いものがせり上がってきて、鼓動がはやくなった。
「あっ、あっ、あきぃ、あん……っ、んふぅ……」
「はいっちゃった。にいちゃん、ごめんね」
アキのあそこがぼくのお腹でふくらんでいる。甘くて強烈な痺れがビリビリと走り、下腹部がふっくらと持ち上がってくるのがみえた。
「あ、アキの、おっきぃっ……、ぁん」
「ほんとう? にいちゃんのなか、きついくて熱いよ
」
じゅるっと音がして、乳首をつよく吸われた。弟の重みをなかで感じて、がくがくと狂おしく身悶えながら声がでてしまう。
ゴリゴリとすり潰され、裂かれて、花びらのように開かれる。ぼくはしがみつきながら、アキに支配されるのをまった。
「あううっ、……あー、あー、あっー」
「にいちゃん、にいちゃん、でちゃう、でちゃう」
打擲音を出し合いながら、互いの股間をぶつけあった。ぼくも自分からお尻を突き出して、アキのリズムに合わせた。動物に戻ったような気がした。
「くっ……、い、い、あうう……」
「……かわいい、にいちゃん、かわいい」
身体の奥深いところで、ほとばしる熱を感じた。僕は抜き差しのスピードが増すたびに、しがみついてアキの背中に爪をたてた。
「も、もっと、もっと、ああっ、ん、あ、あきっ」
「……うっ、あっ、にいちゃん、でる、でるよ」
上体を突っ張らせて、腹のなかに噴射するマグマに酔いしれてしまう。あまい悦びにも似たものを知ってしまった。が、そのとき、うなじに鋭い痛みがはしる。
いたい。いたい。痛い。でも、きもちいい。
きもちよくて、こんなの、初めてだった。
きゅーと窄まりが収縮し、引きちぎらんばかりにアキのおちんちんをきつく締めつけた。
「にいちゃん、すき、だいすき」
一瞬の閃光のあと、下腹部がおおきく波打った。びゅーびゅーと液体がだされるたびに、ごちそうかと思うぐらい満たされた。アキはなんども尖った肉を深く、奥にこすりあわせる。
だれかに祝福されたような、おこられたような、そんな気持ちに襲われて、ぼくはちゅうを幾度も求めた。アキもそれにこたえた。力強く腰を叩きつけながら、巧みに舌をくねらせて、僕の舌に絡めてくる。足先が痺れるほどの心地良さをおぼえ、がくがくと全身が痙攣した。
「あっ、ひぃっ、ひぁっ、ああんっ……」
「……にいちゃんの、ぬるぬるしててすごいよ。きもちいい。きもちよくて、止まらないっ」
腰を上下に轟ろかして、弟のすべてを粘膜で受け止めたくなった。
次々と襲ってくる得体のしれない快感に呑み込まれて、僕は無限の彼方に浮遊した気分だった。アキが力いっぱい動くと、僕も最後まで貫いて欲しいと揺さぶりたててしまう。互いにびくびくと痙攣しながら、唸りをあげてどくどくと|射《う》ち放って果てた。僕たちはなんども絶頂に達して、ひとつにもどった。
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