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「警報」
深夜の兵舎に襲来警報が鳴り響いた。『あいつら』がこの星に向かっていることを示す合図だ。この警報が鳴ってから大体二、三時間でやつらは地上に降り立つ。ちょうど仲間とダーツで遊んでいた俺は、その音に溜息をついた。仲間たちと別れ、俺はリアンの部屋に向かった。
(リアンの誕生日の二日前……、いや、0時過ぎたから、一日前か。運のないやつ)
リアンはこの時間はとっくに寝ているだろう。深夜の警報に気づかず呑気に寝ていることも多い。それを起こす役目も相棒である俺の仕事だった。
引き戸の扉をわざと乱暴に開けて、リアンの個室に押し入った。が、その部屋があまりに様変わりしていて、俺は一瞬、部屋を間違えたかと思った。
写真が好きなリアンは、ポスターや仲間と撮ったポラロイドの写真を壁一面に貼っていた。何に使うかわからない小物があちこちに置いてあり、とにかく雑多な部屋だった。それがすべてなくなって、本来の無機質な個室に戻っていた。壁際に積まれたいくつかの箱と、トランク。それらは、あと数日でリアンがこの部屋を去ることを意味しており、俺の胸はちくりと痛んだ。
その部屋の真ん中でリアンは座っていた。地べたであぐらをかき、ランタンの光を頼りに壁に飾っていた写真を見返していたようだった。
「警報、鳴ったな」
リアンは俺に気づくと、写真を握ったまま、嬉しそうに目を細めた。
「断ってもいいんだぜ。他にも出れそうなやついるし……」
「戦いたい」
即答で答えたリアンの瞳は真剣で、力強く俺を射抜いた。しかし、直後に苦笑して目を伏せる。
「俺さ、外の世界が怖いんだ」
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