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第83話「四ノ宮の声」*奏斗
『――――……』
呼びかけたけど、全然、返事が、ない。
ああ、なんか――――……怒ってんのかな。
オレ、関係ないとか色々言ったしな。
「四ノ宮? ……オレだけど……」
『――――……』
「……聞こえてる?」
聞こえてない訳じゃないと思うんだけど。
向こうの音楽は聞こえるから、通じてはいると思うし。
「……四ノ宮?」
『……はい』
あ。めっちゃ、低い声。
――――……でもなんか、ちょっと、四ノ宮の声に、ホッとした。
「――――……今、話して平気?」
『……どうぞ』
めちゃくちゃ、声は低すぎる位だけど。
でも、聞いてくれる気はあるのかなと、思って、良かったと思った。
ここでも四ノ宮の声は聞こえるけど、目の前の2人に全部聞こえちゃうので少し歩いてフロアの一番端に行って、壁に寄りかかった。
何で寄りかかったかって。
――――……なんか、すごく、だるいから。
なんだろう、これ。
何か、変だな……。
「――――……あの、さ、四ノ宮?」
『……』
「……さっき、ごめん。オレ、言いすぎた」
『――――……』
しばらく無言。その後、ため息が聞こえる。
『――――……先輩、今、どこ。すげーうるさいけど。クラブ行ったの?』
「……うん」
またしばらく、無言。
――――……怒ってる、かなー……。
『……良い奴居なかったの?』
怒ってるというよりは、呆れてるみたいな。ため息交じりの声。
「――――……探してない」
『え?』
素直に言った言葉に、四ノ宮は一言で聞き返してきた。
「……四ノ宮、気になって。――――……なんか、もう全然、探してない」
また無言。
――――……何、今、考えてんのかなあ……。
『……じゃあ、もう帰んの?』
結構長い沈黙の後、四ノ宮がそう聞いてきた。
「――――…… うん…… 帰ろうと、思ってて……」
『先輩? ちゃんと聞こえてますか?』
「ん? ……聞こえてるよ?」
『……なんか変じゃねえ?』
「……ん、なんか……さっきから、急にだるくて」
『……どんな?』
「……なんか急に、ぼーっとして……」
『――――……酒でも飲んだ?』
「……? ジンジャーエール……」
『間違いない?』
「……? うん」
『なんか、呂律、回ってないけど――――……』
「……酒なんて、飲んでないよ……?」
そう言ってるのに、四ノ宮は、ち、と舌打ち。
――――……また舌打ち、してるし……。
ていうか、そこ、二次会んとこじゃないの……。
バレるぞ、ブラック……。
『相川先輩、すみません、急用で抜けます』
四ノ宮がそんな風に言ってる声がして、向こうが騒がしくて。
それをぼんやり聞きながら、はあ、と息をついた。
なんだろう、この、ポワポワして、だるくて、眠くて――――……。
四ノ宮、何、急いでんの……。
『先輩、店出たから。今から行く。そこに仲の良い店員居るって言ってましたよね?』
「……あ、リクさん……?」
『――――……オレすぐ行くから、そのリク……』
四ノ宮が何かを言いかけた時。
するっ、とスマホが手から抜け落ちた。
靴の上に落ちてそのまま、スマホが少し先に滑った。
――――……あれ?
何で今、スマホ、落ちた……?
手に力、入ってない?
拾わなきゃ、と思った時、スマホを誰かが拾ってくれた。
「ユキくん、大丈夫?」
「――――……」
さっきの2人。
「スマホ、返して」
言った瞬間、ふら、と眩暈がする。
すぐに、支えられて。起き上がろうと思ったけど、足に力、入らない。
なんか、くらくら、する。
そして、頭の上で、声がする。
「……眠剤は入れてないよな?」
「酒に、アレ溶かしただけだけど――――……」
「なんか寝ちゃいそう。はは、可愛いな、こいつ」
……眠剤…? 酒――――……?
さっき、四ノ宮、なんて言って――――……。
……あ、リクさんにって……?
なんか、頭の中で、言葉がうまく、繋がらない。
(2022/2/10)
◇ ◇ ◇ ◇
さてと。ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
次回をおまちください♡♡
まあ書いてるの、しょせん私なので。
とだけ言っておきますね(^^)
まあその後も色々で色々で色々になりますが。
作品紹介のタグを眺めて、想像しておいて頂けたら……。
……あ、しなくてもいいですよ(笑)
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