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第95話「何で」*奏斗※

「……んっ……ぁ……あ、ン――――……」  声。  ――――……誰の。 「……ん、あ……っ」  ……あれ。オレの?  ――――……オレのか。  あれ、オレ今、何してンの……。  って、誰かとシてんのか……。  誰だっけ――――……今日、誰と…………? 「……ッア……っ……」  う、わ。なんだこれ。  ――――……今日、すげー、気持ちいいかも……。 「……んん、ンっ……」  激しいけど。なんか……自分勝手じゃない、抱き方。  あぁ、なんか――――……今日の人、アタリかも。 「……きもち、イィ……」  思わず言ったら、深く、突き上げられた。  のけ反った唇に、舌が入ってくる。  ――――……あ、キス……したくないのに……。  ああ、でもこいつ……キスも、うま……。 「……んん、ふ……」  どうしよう。  気持ちよすぎて。なんか、やばい。  抜かれて、また、ずぶ、と硬いものが、中に埋め込まれる。 「……ンっ、あ、あ……っ」  中だけで、イっちゃってる、オレ。  やばい――――……何これ……。  どんな、やつ――――……だっけ、今日の相手……。  かろうじて瞳を開ける。  暗い、部屋。  めちゃくちゃキスされてるのを少し、引いて――――……。 「――――……」  一瞬和希かと思って、心臓が止まりそうになって。  それは、本当に、ほんの一瞬で。  すぐに、誰なのか、分かって。  全身が、強張った。  ――――……え……? 「……し、の――――……?」 「――――……」  乱れた前髪を掻き上げて。四ノ宮が、オレと視線を合わせた。 「……やっと、ちゃんと分かった?」  言いながら、ぐ、と奥を突きあげてくる。 「……や、ぁ……っ……」  奥で止まって。そのまままっすぐに。上から見下ろされる。 「――――……し……のみや……? 何で……?」 「抱いてほしがったのは、あんたですよ」 「――――……ちょ、待って……ぬ、いて……」 「は?」 「抜いて、とり、あえず……っ」  こんな状態で、何を言ってるんだろうとは思う。  思うけど。相手、四ノ宮だし! ……何してんの、オレ達……!  そうか。なんか……クラブで変な風になった、オレ。  その後の記憶が――――……何かはっきりしない。  いくつか思い出せそうなシーンが浮かぶけど……  なんか、いまいち、繋がらない。  もしかしたら、何か飲まされたのか。  だから、記憶もこんなに曖昧で……。 「ごめん……、四ノ宮…… 抜いて……」 「――――……冗談でしょ」 「え……ちょ、……あ、あ……っ……んっ、ん、あっ……!」  激しく突かれて、意識が飛びそうになる。 「……ば、か……っぬけ、って……っ!」  四ノ宮の裸の胸に手をついて、離そうとするのだけれど。 「――――……こんなとこで抜く男なんて、居ますか?」  その手を掴まれて、ベッドにくくられる。  呆れたように言われて、確かに、とは思うのだけれど。 「……っ――――……れよ!!」 「え? なんですか?」 「……こ、んなとこで抜く、初めての男になれよ…っ!!」  思わず叫んだオレに、四ノ宮は何とも言えない顔をした。 「――――……もう完全に戻ったみたいですね……」  ふ、と苦笑いして。  ベッドに括ったオレの手首を、ぎゅう、と更に押し付けて。 「無理。――――……そんな初めての男になんて」 「……や……っ」 「……なれる訳、ないだろ――――……」 「……しの…… っあ……!」  深く突かれて、名も最後まで呼べない。  また唇を塞がれて、舌、絡め取られる。 「……ん、ふ…っ……っ……あ……っ」  喘ぎ、漏らすまいと、思うけど――――……無理。  こんなの、無理。  

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