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第101話「どーして?」*奏斗
「……四ノ宮が、相手をする?」
「はい」
「……何の?」
「セックスの」
……平然と答えられると、本当に意味が分からなくなる。
「――――……誰とすんの……?」
「オレが。先輩の相手をします」
あぁ、もう。
「…………オレと、四ノ宮が、すんの?」
「もうさっき、したでしょ」
分かってない訳じゃないけど。
――――…… 言いたい事、分かってるけど、確かめずにはいられない。
「……だって――――……あれは……」
「あれは何?」
「薬のことがあったから、だろ……何で、これから先、オレがお前とすんだよ? 意味、分かんないんだけど……」
本当に、何言ってるのか、分からない。
「あのさあ」
ぐい、と顎を掴まれて、上向かされて、まっすぐ見下ろされる。
「覚えといてよ」
「――――……」
「オレは、一滴も酒なんて飲んでねーし、媚薬なんて欠片も入ってない」
「――――……」
「その状態で、あんたのこと、抱いたんだよ」
ものすごい、圧のある感じの言い方に。
言葉が一つも出てこない。
……そうか。
オレは、意味わかんなくなってたけど。
――――……こいつは、完全にシラフで。
……勝手にフェラしたり、キスしたり、乱れてるオレの相手をしたんだ。
「――――……」
――――……ん? どういう事??
シラフで抱いたから、何なの?
……何でこの後も、オレと寝る事になんの?????
もう分からな過ぎて、ただただ、四ノ宮を見上げていると。
「オレ、あんたが知らない奴に抱かれに行くのが、我慢なんねえの」
「――――……」
「ずっと、すげえムカついてた」
「――――……」
「だけど、オレにあんたを抱く事なんか出来る訳ないしと思ってて。だから、仕方ないと思って、だからせめて危なくないようにしろって、言ってた訳」
「――――……」
……言っている事は、分かる。
嫌そうなのは知ってたし。
……心配してるんだと、思ってた。
「でももう、オレが抱ける事が分かったから」
「――――……」
「だから、どうでも良い知らない奴に、抱かれたりさせない」
「――――……」
ここから急に分からなくなるんだよ。
なんかもう、何も言葉が出てこない。
どーしてそうなんの?
「オレ、近い、奴とはしないって……」
「もうしちまったから関係ないよね? オレがばらさないことも、もう分かってるだろ?」
「……1回しか、しないって……」
「――――……別にオレは、何回したって、執着したりしねえし。あんたに好きな奴が出来たら、そこでちゃんとやめてやるから」
――――……ここが、少し、違う気がする。
四ノ宮が執着するとか、そっちだけじゃなくて。
オレの方も、繰り返してたら、愛着が沸いてしまうかもしれない。だから、それも嫌なんだから。そう思うんだけど。
……四ノ宮に執着するかも、なんてセリフを、言ってはいけないような気がして。
「――――………ていうか……ゲイじゃ、ないだろ、四ノ宮」
辛うじて、別の質問をすると。
「そうですね」
「……なんで、そんな事、しようとすんの……? 気持ち悪く、無いの?」
「は?――――……もう、ほんっとに、何言ってンの?」
眉が寄って、見下ろされて。
首にぐいと腕が絡んで、覆いかぶさるみたいに、キスされそうになって。
「……っや、め」
抵抗しようと思ったのに、手首を掴まれて出来ず、深く重なった。
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