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第102話「宇宙人」*奏斗
「……っ」
唇、開けないように、噛みしめていると。オレの首に絡んでた手が動いて――――……乳首、引っ掻かれて。
「や…… ん、ぅ…………」
びっくりして開いた口に、舌が挿しこまれた。
「――――……っン……っ」
オレ。キス。――――……やなんだけど。
和希以外と、したいって、思えなくて――――……。
今まで、望まれたら仕方なくしてた時もあったけど、全然気持ちよくなくて。ずっとは、しないようにしてて。
「……ん、ふ……っ」
何でこんな――――……キス、うまいの。
……勘弁してよ。マジで。
「……は、……っ……」
「……気持ち悪いとか、あったら、抱いてないし」
長いキスで乱れた息を抑えて。オレは四ノ宮を、見つめるしかない。
「もう、なんか――――……」
「なんですか?」
「……ブラックとかじゃなくて、お前、宇宙人みたい……」
「は?」
「もう、何考えてるか、全然わかんない……」
「――――……分かるでしょ」
「分かんないよ。大体、オレ、キス、嫌いなんだからな!」
「――――……カズキとだけしたいってこと?」
「……っ別に、今はそれを望んでる訳じゃない、けど」
「キスが嫌いなんて、嘘ですよね、先輩」
顎を掴まれる。
「抱いてる時、めちゃくちゃキスしてきたし。キス、好きですよね? ……とりあえず、オレとキスするの、平気になって」
「――――……っ……」
また唇、触れて。
深く重なる前に、顔を背けたのに、顎掴まれて戻されて。
「――――……っ……」
ものすごく困った事に、宇宙人のキスは、頭が真っ白になるみたいで。
なんかもう。
頭、おかしくなりそう。
なんなの、もう本当に、何なんだ……。
「……オレ……っ」
四ノ宮を引き剥がした。
「お前と、そんな事し続ける気、ない、んだけど……っ」
「じゃあ、恋人つくるか、ずっとそういう事しないかです」
「――――……っっっ」
「見も知らない奴とするなら、オレがします」
「…………ッ」
「――――……キス、気持ちいいでしょ?」
「――――……っ」
頬を挟まれて引かれて、キスされる。
「――――……ッ」
ゆっくり舌が解けて、離れて行く。
「……よく、ない、しっ」
「……ふうん? 気持ち良さそうですけどね」
四ノ宮は、そう言って少し笑って、オレを見て。
「とりあえず、帰りましょうか。先輩はシャワー浴びた方がいいですよ」
立ち上がって、多分バスルームの方から、自分の洋服を持ってきた四ノ宮は、着替え始める。
「……ッ」
さっきから目の端に映ってたバスローブに腕を通して、オレも立ちあがった。四ノ宮の横を通りかかった時。
「あ、先輩」
「――――……っなに?」
腕を掴まれて、ぐいと引き寄せられた。
「オレが抱くって、本気ですからね」
「…………っっ」
腕で四ノ宮を押しのけて、バスルームと思われる方に向かう。
オレの服が畳んでおいてあって、バスタオルも用意されてる。
全然昨日ここに居た記憶はないし、四ノ宮がやってくれたんだろうけど。
「――――……」
シャワーを出して、行為の跡を流す。ため息しか出ない。
四ノ宮とヤっちゃった……。
しかもキスされまくるし。
頭が働かない。
何でそんな事言うんだろう。
恋人が出来るまでって。
――――……オレ、作る気ないし。
どういう事だよもう――――……。
つか。
――――……キス。嫌じゃないのって。
……知ってる奴だからなのかな。
和希のあとで誰としても、「普通」か「気持ち悪い」しかなかったんだけど。でもキスが嫌じゃないからって、そういう事するのとは、全然話が違う。
「――――……」
ダメだ、これ――――……。
どうしたらいいのかとか、何にも出てこない……。
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