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第109話「意味わかんないけど」*奏斗

 少しの間、色々考えたけど。  ああ、なんか。  ……もう、断れそうにないし。 「……分かった…………けど、邪魔、じゃないの?」 「あんた、ちゃんと聞いてました? オレは、心配なんだって」  そう言われて、もう、しょうがなく。もう一度、分かった、と頷いた。 「でも――――……ほんとに、1人にしてもらって良い?」  そう言ったら、四ノ宮は、まっすぐにオレを見つめて、頷いた。 「気が済むまで好きな部屋で1人で居ていいよ。ただ、たまに様子だけ見たい」 「分かった……着替えたら、行く」  頷くと、四ノ宮がホッとしたように微笑む。 「――――……待ってますね」  言って、四ノ宮が部屋に消えてくのを見送って。  自分の部屋の鍵を開けて中に入った。 「――――…………」  言ってる事は、分かるし。  心配してくれてるのも分かるし。  これ以上変に心配かけたくないから、頷いたけど。  ……なんかもう、オレ、どうしたらいいか、よく分かんない。  だって――――…… あんな事、しちゃったのに。  ほんとに。  ――――……どうしたら、いいんだろ。これから。  四ノ宮とどうやって、付き合ってくべきなんだろう。  靴を履いたまま、玄関に座って、膝に頭をこすりつける。  ――――……なんか。  もう。  四ノ宮に、ゲイがバレてから。  ……なんかずっと、狼狽えてばっか……。  あそこまでは、何となくうまく、やってた気がするのに。  ――――……全部、一度、落ち着かないと。  ふー、と息を吐いて――――……また、膝に突っ伏した。 ◇ ◇ ◇ ◇  でも、いつまでも行かないでいる訳にはいかないので、部屋着に着替えてから、スマホと鍵だけを持って、四ノ宮の部屋を訪ねた。 「いらっしゃい」 「うん」 「入って」 「うん」  四ノ宮がリビングに向かうので、オレもついて歩いて、中に入る。 「今、家で何か食べました?」 「――――……ううん」  そういえば、なんか食べようって気すら、全然してなかった。 「とりあえず、うどんだけ食べて」 「――――……ありがと」  テーブルに、卵とじうどんが置かれた。  言われるまま、向かい合わせて、座って。 「――――……いただきます」  何でオレは。  四ノ宮に抱かれて。四ノ宮とホテル泊まって。キスされて。  一緒に帰ってきて。四ノ宮の家で。  うどんたべてんの??  はー、意味わかんない。 「――――……おいしい」  意味わかんないけど、口に入れたら、温かいし、美味しいし。  自然と、そう漏れた。 「……それは良かったです」  くす、と笑って、四ノ宮がオレを見る。    ――――……なんか。  ほんと、よく分かんない。 「……四ノ宮?」 「はい?」 「……昨日――――……ほんと迷惑かけてごめん」 「――――……良いですから、食べて」  オレの言葉に、ふ、と笑むと。  四ノ宮は、ゆっくりそう言った。

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