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第114話「特殊?」*奏斗
めちゃくちゃ2人で応援して。
無事、真斗のチームが勝った。
「やったー!」
拍手してめちゃくちゃ喜んでいたら、真斗がこっちを振り返って。
笑顔で手を振ってきた。
めいっぱい笑顔で、手を振り返して。
すると、真斗は、オレの隣に居る四ノ宮に視線を移して、ぺこ、とお辞儀をしてから戻って行った。
「んー? 今オレに挨拶してました?」
「……応援、めっちゃ聞こえてたんだと思うよ」
不思議そうな四ノ宮を見て、ぷ、と笑いながら言うと、四ノ宮は、ははっと笑って。
「思ってた以上にうまかったんで、つい――――……勝てて、良かったですね」
「うん」
「もう帰ります?」
「うん。今日は話せないみたいだし。あとで電話する」
オレが頷くと、「早く帰って休みましょう」と四ノ宮が言う。
駐車場で、四ノ宮の車に乗り込んで、走り出した車で、運転してる四ノ宮を眺める。
「――――……四ノ宮ってさ」
「はい」
「……最後の彼女、いつ別れた?」
「大学入る前です」
「ふうん……大学でもモテモテなのに、何で付き合わないの?」
「――――……まだ始まったばかりで、身近に元カノいっぱいできるの嫌だから」
「ああ。……それで、違うとこで一晩なの?」
「……そうですけど」
「元カノいっぱいって――――……何で最初から、元カノいっぱいできる予想なの? ずーっと1人とかの可能性、無いの?」
「――――……」
あれ。黙っちゃった。
「オレね、先輩。――――……あんまり、好きな気持ちが長続きしたことがないんですよね」
「――――……」
「まあ最初は少しは好きなとこがあるから付き合うんだけど――――……なんか、オレも、自分作るの疲れるし。面倒になってきて思うまま答えてると冷たいとか言われるし」
「――――……四ノ宮って、よく分かんないもんね」
「……悪かったですね」
苦笑いの返事に、少し笑ってしまう。
「宇宙人だもんなー」
「――――……だから、それ何なんですか」
「……でも、むしろ、宇宙人になってからのが優しくて、マジで意味わかんないけど……」
「――――……」
「てことはさ、表、作らなくても、お前は優しいって事だよな?」
「――――……」
ちょっと考えながら、そう言うと。一瞬オレに視線を向けて、またすぐ前を向く。
「……先輩は、オレにとって、ちょっと特殊なんです」
「特殊?」
「王子じゃないって気づいて、突っ込んできた人、初めてなんで」
「――――……」
あぁ。そういう意味。
――――……特殊。
特殊って。……特殊って、なんだ?
特別とは違う?
――――……やっぱ、よく分かんないなあ。
「つか、オレ、彼女作んないですよ」
「え?」
信号が赤で、四ノ宮が車を止めて、まっすぐこっちを見つめてきた。
「彼女作ったら、さすがに先輩、抱けないし」
「――――……」
朝はホテルで。異様な空間で。意味分からなかったけど、あの空間の中だけでの冗談だったのかなとちょっと思おうとしていて。
「――――……っ」
こんな真昼間の、明るい所で、こんなまっすぐ、
またそんな事言われるとか。
こいつの下で乱れてた自分を思い起こすと。顔、熱くなる。
ふい、と四ノ宮と逆側の窓に目を移す。
「……っ彼女、作っていい、からっ」
「――――……先輩が、彼氏作ったら、考えますよ」
「――――……っ」
そんな変な返答に、もう一度四ノ宮を振り返って見つめて。
何も言えないでいると、四ノ宮は何だか面白そうに笑ってから、また前に視線を戻して車を発進させた。
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