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第128話「話しても」*奏斗

【side*奏斗】  なんか。ものすごーく、真剣な顔で、オセロしてる。  ……変な時間。  四ノ宮と二人で、ボードゲーム。  ――――……和希の漢字聞かれて。  四ノ宮が、和希の事、考えるとか。知りもしないのに、何で。何を考える事があるんだと思ったら。  オレが恋人要らない理由……か。  ……朝、聞かれた時は、絶対言いたくないと思ったし。  ……正直今も、言いたくはない。思い出したくもないし。  ――――……和希の事は、自分の中で遠くにおいやって、敢えて口になんか出したくもない。だけど、なんか。  オレを心配してくれてるのも、なんか……色々世話してくれて、大事にしてくれてるのも、今日一日、すごい感じてしまって。  ……そんなに気になるなら別に。  話して、四ノ宮が気にしなくなるなら…… 四ノ宮だけになら、いいかなとか。  少し思ってしまった。  ――――……隠してても、結局オレの中にはずっとある事だし。  ……話してしまえば、きっとそんなこと、って思うような――――……。  こだわってるオレが、おかしいのかなとも思う事もあるけど。  ……四ノ宮は、分かってはくれないかなあ。  そんな事、て……言われたら。  ……バカみたいだよな。ずっと考えてるのも。  話せば楽になるかなあ……。  あー、でもやっぱり言いたくないかも。   心の中ずっと。あちこち揺れ動く。  ……でも、じゃあちょうどいいのかもしれない。  オセロ、すごくいい勝負。  オレ、結構強いと思ってたけど、四ノ宮も強いから、あとは運かも。  これで負けるなら、話してもいい、かなあ……。  なんか今日の四ノ宮見てたら、なんかそんな風に思ってしまった。  ――――……そんなに聞きたいなら。  ……大した事ない、て言われたら――――……少しは吹っ切れるかな。  でも、オレにとっては大した事だったから……腹立つかな。  ……どう思うかすら、分かんないけど。  運を天に任せてみるのもありかな。  ――――……こんなに心配してくれちゃう奴が相手だし。  恋人は、ほんとに要らない。  ……好きになって、ずっと好きで。付き合ってもっと好きになって……。  男同士なんて、何の約束も未来もない。家族にもなれない。  ――――……もう思い知ったから。    ……あんなの。二度とごめんだし。    ――――……四ノ宮、真剣。何でそんな、知りたいんだか。  ……ていうか。天に任せず――――……もう、負けてあげちゃおうかな。  一番良い手じゃない、次の位で打てば。  きっと、気づかれずに、負けれる気がする。  ――――……話しちゃえば、四ノ宮も気にならないのかもしれない。

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