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第135話「何なの」*奏斗
夜中。
目が覚めた。
――――……ウエストにまわってる、四ノ宮の腕と。
なんか背中が暖かい。
……もー。なんなの、こいつ……。
動いたら、四ノ宮起きそう。絶対動かないぞ。と、固まる。
――――……こんな風に、男同士で、寝る事って、ある……?
付き合っても、ないのにさ。
もう。こいつ、意味わかんない。
なんか――――……言ってる事、結構むちゃくちゃなんだけど。
……四ノ宮の瞳、見てると。
ふざけてんなよ、と、言えなくなる。
何でだろ……。
こいつって何なの。
――――……ほんとに……。
「 ――――……」
こんな風に、誰かと寝るのは――――……。
和希の時、以来で。
なんだろう。
なんか、ただ――――……戸惑う、と言うのが、正しい気がする。
思ったよりも、気持ち悪くなく、嫌悪が無くて。
気持ち良い事は好き。というか。……慣れてて。
時たま、めちゃくちゃに、されたくなる。
――――……キスは、したくなかったけど。別に、出来なくもなかったし。
セックスは、うまい奴なら――――……ちゃんと気持よかったし。
でも、添い寝とかは、冗談じゃなくて。
コトが終わると、帰って、シャワーを浴びた。
抱き締められて眠るとか。
絶対、嫌だった。
「――――……」
変な奴。
――――……お前、なんか。キャラ、違くなってる気がするぞ。
気持ち悪い位の王子っぷり。
オレの前でだけやめたのは良かったけど。
そこからなんか――――……話すようになって絡むようになったら。
なんか……変に心配症になって。
……昨日から今日なんて。
もはや宇宙人&お母さんという、訳の分からない奴になって。
ほんとの四ノ宮は、どれなんだろうっていう……。
――――……一生相手するとか。
冗談でも、言うなよな……。マジ意味分かんない。
……何でオレ、ここに居るんだろ。
別に、振り切って帰っても良いんだ、よく考えたら。
――――……媚薬もアルコールも初めてで、どっちがどれだけ効いたのかもよく分からない。でも、アルコールは多分朝起きた時には残ってなかったし。媚薬も、別に……ちょっとぼーっとしたのは、むしろ寝不足なんじゃないかなと思ったり。
……だから、世話なんかしてもらわなくたって、オレ倒れないし大丈夫。
そう強く言えば、四ノ宮に世話される事も、無かった。
それで良かったはずなのに。
――――……ここに居て、って顔で。
心配だからって、言ってくれるのが。
オレは、嬉しかった……のかなあ……。
あんなことさせてしまった、後輩。
――――……その後輩に甘えて……何してんだろ。
だんだん自己嫌悪に陥ってきて。少しだけ、俯いてしまったその時。
「先輩……?」
囁かれて。四ノ宮を振り返る。
「目ぇ覚めちゃいました?」
「――――……うん。ごめん。起こした?」
ちょっと目が覚めただけです、と言って。
四ノ宮がオレを、ぐい、と抱き寄せた。
オレの事、なんだとおもってるのかなぁ……。もう。
――――…… オレは、抱き枕じゃないぞ。女の子でも、ないし。
「先輩って、あったかいですね……」
そんなこと言って、クスクス笑う。
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