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第145話「惑う」*奏斗※
ベッドに組み敷かれて。顎を捕らえられて、深くキスされる。
舌がオレの口内、好きに嬲って。
「……ん――――……ふ……」
ぞく、とした感覚が体を走る。四ノ宮の腕に捕まってた手を、握り締めたら。その手を取られて、ベッドに括られた。顎から手は離れたけど、キスは外せないまま、長い間、キス、される。
「……ん、ン、……くる、し」
「ダメだよ」
少し外したけど、すぐに塞がれて、また舌が絡んできて。
絡んで、伝わる唾液を飲み込むことと、呼吸と、うまく両方できなくて、ひく、と喉が動く。
「んっ……ン……ふ――――……」
「……キス、好き?」
括られていた手を離されて、四ノ宮の右手が、オレの顎をあげさせて。
オレを真正面から、見つめてくる。
「……素直に言ってみてよ。好きか嫌いか」
「――――……っ嫌い」
「そっか。キスは嫌いなんだよね」
クス、と笑った四ノ宮は、また唇を重ねてくる。
「じゃあ、オレとのキスは……? 気持ち、いい?」
触れながら問われて。すぐに、舌、奪われて、吸われる。
「……っン――――……」
ゾクゾクして。体の熱がどんどん上がって。
熱い。汗が滲むうなじに、四ノ宮の手がかかって押さえられて、余計深くキスされて。
片方の手が、首筋を撫でて、そのまま耳に、触れてくる。
「ん、ぁ……っ――――……んぅ…」
耳の中、くすぐられて、驚いて。咄嗟に外れた唇を、また塞がれる。
「……っん、ぅ――――……ン……」
「気持ち良くなるまで……続けるからね」
キスだけなんて思えない位、熱くなってる息を、離れた瞬間に吸った時。
四ノ宮は、そんな風に囁いた。
すごく。
むかついて。
あくまで、気持ち良いって、言わせる気なのかと。
……なんか、すごく嫌。と思って。
唇噛みしめて、顔を背けた。
「や、っぱり、やめる……」
肩を上げて、体を起こそうとした瞬間。
「そんなの、許すわけないでしょ」
肩をまた枕に押し付けられて。
睨んだ瞬間、唇が重なる。
「――――……っっ」
ムカつく……。
……反応で。気持ち良いか悪いか位、分かる、だろ。
わざと、言わせようとして、こんなしつこいの――――……。
悔しくて、固く唇、噛みしめてると。
舌が、唇をなぞった。
う、わ。
……なんか、ぞくっとして。でも、なんとか唇開けずに、耐えたのに。
四ノ宮の手が、ズボンの上から、反応しかけてた、そこに触れた。
「!」
「――――……反応してるの、分かってるし」
形、なぞるように刺激されて。
「……っぁ」
声を出した瞬間に。
また深く口づけられて、舌が、ねじ込まれた。
「……ん、ン……っ……」
四ノ宮は下からは手を離して、オレの首筋や耳を、そっと、触れながら。
キス、繰り返す。
「……も……や――――……」
「――――……」
言うけど、離してくれない。どんどん……惑わされていく気がする。
弱い所、くすぐりながら、キスしてくる四ノ宮に、涙が滲んで、零れていく。
「……き――――……」
「……ん?」
「……っきも、ちいい、から……もう、やめ……」
「……気持ちいいならやめる理由は、ないし……めちゃくちゃ、気持ち良くしてあげるから」
微笑んで、そんな事を言って。
また、口づけてくる。
……言っても、一緒かよ……! もう、やだ。もう………。
「……ん、んんーー…………っ! っん……!」
思い切り、文句、言ってると。
四ノ宮はクッと笑い出して、唇を離した。
「分かった。じゃあキスは一旦終わりね。……続き、しよ」
やっと唇、解放されたけど。
今度は、首筋に四ノ宮の唇が触れて。吸いつかれて、びくん、と震える。
「……弱いとこ、薬無くても、変わんないね」
くす、と笑われて見つめられるけど。
なんかもう。滲む涙も、隠せない。
「……意地悪いの……嫌、だから……」
言うと。四ノ宮は、じっとオレを見つめて。
「――――……素直に抱かれてくれれば。意地悪しないよ」
…………色んな意味に取れて。返事できないでいると。
服の裾から手が触れて、脇腹をなぞられる。
いいのかな。
――――……これ。本当に。
オレを変な奴に抱かせたくないとか。
そんなよく分かんない理由で、オレを抱きたいという奴と。
――――……試してみようとか言われて。
こんな風に。
好意だからって。
……四ノ宮がなんだか、やたら優しくて、心地いいからって。
……いいのかな。
そんな風に思うから。
なんか、何されても。体に、余計な力が入る。
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