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第195話「似てる?」*大翔
「えーと……カズ先輩がどんな奴か知りたいってこと、だよね?」
「ああ」
頷くと、んー、と少し考えてから、またオレに視線を戻す。
「それを知ってさ、どうすんの?」
どうする。
……そもそも質問すら今考えてるのに、どうするこうするも、無いしな。
「……別れてんのに、会いたがってるらしいって聞いたけど。それがほんとなのか……何考えてんのか分かれば」
「……知ったら、何かすんの?」
「……どうかしようってことは、今のところは無い。……ただ先輩と話してて、どんな奴なのか知りたいって思ってたところに、ちょうど江川が現れたから、つい」
「現れたからつい? え? ……それで急にランチに誘われたの、オレ」
「……まあ、そう」
「はは、おもしろ。……変わってるねー、四ノ宮」
「――――……」
なんだか、ひとしきり笑われた後。
「まあ……別にカズ先輩がどんな人かってことくらいなら……なんか面白いから、いっか……でも、先輩には変なこと言わないでよ?」
「ああ」
頷くと江川は、んー、と考えてから。
「……カズ先輩は、一言で言うなら、超カッコいい先輩、かな」
「――――……」
「顔もだし。言うこととかも、なんかカッコいい。ワンマンで怖いとかじゃないんだけど、皆自然と言う事聞いちゃうっていうか。部活の先輩だったけど、ついていきますって奴も多かった感じ。女の子にもすごいモテてたし。でも、軽く付き合ったりもしないで硬派な感じがするって、余計大人気。よく居るじゃん、学校一モテる人ーとか。そんな感じの人」
「――――……」
「だから、カナ先輩ともしかしてって気づいたけど……最初は気のせいかって、オレ、否定してたな」
「――――……」
「……でもさ。カナ先輩が分かりやすくて。超、可愛いよね、先輩」
「――――……」
は? と、思わず軽く睨んでしまうと。江川はぴた、と止まってから、苦笑い。
「つか何で睨むの。可愛いでしょーが、先輩」
クスクス笑われて、何だか調子が狂う。
「……まあ、あの二人は、親友からの、だったみたいだから、学校ではずっとそのノリでさ。多分他の奴にはバレてないと思うけど」
「――――……何で江川は分かったんだよ?」
「……まあ、それは……」
急にちょっと言いにくそうになって。オレが、何?と先を促すと。
「……オレが、カナ先輩を好きだったから、だと思う」
「――――……」
……は?
目の前のあっけらかんとした顔を、眉をひそめて、見つめてしまう。
「好きだと必要以上に見ちゃうでしょ。――――……そうすると、その人がどこを見てるか、分かるっつーか……」
「――――……」
「……先輩にはまだ言ってないから、内緒、だよ」
「何でそれ、オレに言う訳」
「……だって、それ言わないと、何で気づいたとか、理由浮かばないし。まあいっか、言っちゃえと思って」
…………すげー、ほんとに、色々口に出す奴なんだな。
「オレが先輩に言うとか、思わねえの?」
「……なんか、言いそうにないかなーと思って」
「何で?」
「――――……よく分かんないけど。カズ先輩のことをオレに聞くほど……そんなにカナ先輩のこと心配しててさ。良い奴な気がするから。そういうのは言わないかなと」
「――――……」
……なんか。
奏斗にちょっと似てるような……。
人の良い感じ……。
――――……和希にアホな余計なこと言って、何してんだと思ったけど。
……多分悪気なく、言ったんだろうなと。なんか想像できてきた……。
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