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第202話「意味不明」*奏斗

 あんまり集中できなかったけれど何とかゼミはクリアして、ゼミの皆と食事にやって来た。  いつも、先生と先輩達以外は空いた席に適当に座る。   今日は、オレ、真ん中に座ったんだけど。  隣に座ったのが、隆先輩。  いつもは、良い人なんだけど……なんかこの人、すっごく触るんだよなー。  酔ってくると。絡み酒ってこういうののこと?って思う。  がつ、と肩を組まれて、超近くで「最近どうなの?」とか聞かれる。  何がですか? と少し退くのだけど、「彼女の話とか聞かねえし。イイ子いないの?」と、また近づかれる。  ……まあ、この会話からして、ゲイじゃないし、男ととか、そういうの一切考えてない、超ノーマルな人、なんだけど。  ノーマルの人だから、こんなに近くていいのかって言われると、なんか、それもどうなのって思うくらい、近いー。  と、その時。 「いって……」  何やらそんな声とともに、後ろから、がつっとぶつかられる。  隆先輩と、オレの間に、転がるみたいに入ってきたのは、宇宙人。  ぶつかられた先輩は、はー?と四ノ宮を振り返った。 「痛ぇのはこっちだっつーの、四ノ宮、何してんだよ」  隆先輩が、ぶつかってきた四ノ宮に、文句を言ってる。 「すいません、お酒注ぎがてら話に来たら、転んで」 「何お前、結構ドジなの?」  はは、と笑って、隆先輩が四ノ宮に言う。  なにやらすっかり、オレと隆先輩の間に収まって座って、先輩にお酒を注ぎ始めている。  なんか、オレにはすっかり背を向けて、先輩と話してるので、オレは何となく、暇になって。まいっか、と食事を食べ始める。 「――――……」  こいつって、今、何しにきたの。  オレに突撃して。……隆先輩にも突撃して。  ……痛いっつの。  でかいんだから、気を付けて動けよ。もう。  マジで、一体、何なの??  オレのとこに来たのかと思いきや、完全に背を向けて、先輩達と話してるし。  ……何なの、ほんと。  …………いやいや。オレのとこに来たかとって、なんだそれ。あほか。  頭に自然と浮かんだ思考を、消し去ろうとしていた、その時。  ポケットのスマホが揺れた。画面を見ると、真斗からのメッセージだった。  明日のバスケの試合の時間。……場所はこないだと同じとこか……。  こないだは四ノ宮に車で送ってもらっちゃったからな。  あとで電車の行き方調べて、時間決めよ……。  画面を眺めていると。 「ユキ」  隣に小太郎がやってきた。 「何むくれてんの?」  クスクス笑う。 「え、オレむくれてる?」 「うん、そう見えたけど」  おかしいな。むくれてるの、出してるつもりはなかったのに。 「なんでもないよ?」 「そう? また隆先輩に絡まれてるから、それかと思った」  小太郎はおかしそうにクスクス笑ってる。 「別に。大丈夫」 「ならいいけど。あ、ユキ、合宿どうやって行くか決めた? さっき貰った住所で調べたら結構田舎だから電車とバスだと時間かかるかもって話しててさ。やっぱり車がいいかなあって」 「あ、うん。そうだよね……」  あれ? その話、結局どうなったんだっけ。  ――――……オレと行きたいんですか? みたいなこと言ってたっけ? 違ったっけ。いやなんか、ちょっとムカつく感じだったんだよなー……。  ……小太郎たちと、行った方が良いよな。  なんか四ノ宮とばっかり居たこの数日間。  離れた方が……。 「うん、一緒に――――……」  瞬間。  後ろから、ぐい、と手がかかって、引かれた。  また隆先輩かと思いきや。振り返ると、四ノ宮で、目が点。

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