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第228話「怒られるって」*奏斗

「あ、ちょっと奥に行ってくるから、ユキくん、座っててね?」 「……ぁ、はい」  ……絶対リクさんにも、心配されてる……。  リクさんの背中を見送って、ちょっと困りながら、ジュースを一口。  ――――……一人で、部屋で考えていて。  謝りたいって言われてるって何だろうって思って……。四ノ宮が言ったみたいに、別れたことを後悔してて、それをバカだったと思うなら。  ――――……本当に、やり直したいっていう言葉も、続くこともあるんだろうか。  ……でも。  ――――……四ノ宮にも言ったけど、和希を信じ切れる気がしない。  大好きだったけど。  今も……嫌いじゃない、けど……。  会って――――……オレを見つめる瞳に、泣きそうになったのは、確かだけど。どんな感情かも、よく分からない。  でも、和希はノーマルなんだって、オレとは違うんだって、すごく思った、あの時の感覚が消えることってあるかな……。  消えない気がするんだよね……。  でも、よりを戻したいって言われたわけでもなくて。  何も聞きたくなくて、電話をする気も、本当に起きないのに。  だからそんな、考える必要がないかもしれないことを延々考えてたら。  ――――……なんかもう嫌になってきて。  訳が分からない位。気持ちよくなりたいな、と一瞬、浮かんで。  浮かんだら、なんか、家に一人で居るのが嫌になって。  ――――……家を出てしまった。  なんとなく――――……四ノ宮の所に、夕方また行くのも、何でか分かんないけど、すごく嫌で。頼ってばかりで、ほんとに、どうしたらいいのかよく分からなくて。  だから、いいこと思いついた、とばかりに、勢いで出てきたんだけど。  ……四ノ宮に電話をかけてから、どんどん、足取りは重くなって。  ここに着いた時には、もうすっかりその気がなくなってて。  やっぱり、帰ろうかな……と思っていたら。  店をOPENしに外に出てきたリクさんと会ってしまって、どうぞと言われて、そのまま店の中に入って。……で、入ってもやっぱり気が乗らず、リクさんに張り付いてるのだけど。  …………四ノ宮。夕飯行かなくて。怒ってる、かなあ……。  ――――……もしここに居ることがバレたら。もっと怒るかなあ……。  …………待ってるって。言ってたけど。  うー---ん……。  バレても、このまま何もしないで帰ったら、怒られない?  ……もうここに来てる時点で、怒る、か……。  ……って、別に、怒られることでもないんだけどさ。  オレがオレの責任で、ここに来て……何があっても、オレの責任。  その筈、なんだけどなぁ……。  はー。とため息しか出てこない。  何しにきたんだ、オレ。

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