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第263話■番外編■クリスマス🎄2※

 バスルームから出てきた四ノ宮と、寝る準備をしてから、当然のように一緒にベッドで。当然のように。始まった。   「……ん、ん……っ……ぁ」  深く入れられて、苦しい。のに。  ……ほんと、なんか、むり……。  こいつとすんの。気持ち、よすぎて。  なんだかんだ、オレって……結構、経験人数は、多いと思う。  一夜限りばかりで、丸一年。不定期で、人肌に触れたい限界だった時だけだったげと。何人だっけ……と数えてもよく分かんない位。  ……でも、キスは数えるほどしかしてないし。  皆、二時間以内。ていうか、ホテル入って前後のシャワーも入れてとかで休憩時間内だから、してる時間なんてかなり短い。  気持ちいいこと、好き。  とか。思ってたけど。 「……っひぁ……っ……!」 「……はは。気持ちいいって顔……」  背けて耐えてる顎をとらえられて、四ノ宮の方を向かせられる。 「……かわいー」  見つめ合う瞳は、熱っぽくて、激しい。  ゾク、として、うしろ、締め付ける。  ……ここまで、気持ちよくは、無かった。  どうして、こんなに、気持ちいいんだろ。  激しくされても、めちゃくちゃキスされても。嫌悪とか全く無くて。  ……ヤバい。 「奏斗」  大学に入ってから。下の名前で新しくオレを呼んだのは、こいつだけ。  全員、雪谷の方で、呼んでもらってたから。  こいつだって。……嫌だって、たしか最初はオレ、言ってたはず。 「かなと……」  キスされて、唇の間で名を呼ばれる。  快感が強すぎるせいか。……何だか、涙が滲んでくる。   ◇ ◇ ◇ ◇ 「――――……ん。水」  今日も。……めちゃくちゃ抱かれて、ぐったりしてたオレは、部屋を出てって戻ってきた四ノ宮に水を渡された。  黙って受け取って、起き上がって水を飲む。  下だけはいてて、上は裸。  ……嫌味なくらい。男っぽい体してるけど。……見ない。 「明日って、なんの日か分かってる?」  不意にそんな風に聞かれて、水を飲みながら顔をチラ見。 「……何の日って……クリスマス?」  変な聞き方、と思いながら見上げて聞くと、四ノ宮は、ん、と頷いた。ベッドの端に腰を下ろして、オレを振り返る。 「デート、する?」 「――――……デートはしない」 「……デート……は?」  四ノ宮が面白そうに、繰り返してくる。 「はって、何?」 「……別に。意味ないけど」 「……ふうーん。……ああ、分かった。じゃあ。一緒に、出掛ける?」 「――――……」 「デートじゃなくてもいいけど。出かけよ?」 「……オレ、クリスマスパーティー……」 「ん?」 「……誘われてる」  四ノ宮はちょっと黙ってじっとオレを見て、それから、ふ、と微笑んだ。 「……誘われてる。けど、まだ答えてない?」 「――――……」 「……どうすんの?」 「……去年は行ったんだよ。楽しかったし」 「でも、まだ返事してなかったんでしょ? 行くんだ、じゃなくて、誘われてる、だもんね」  何だか、その通り過ぎて。  ……別にその理由を、四ノ宮のことがひっかかってたと、こいつが思うことはないかもしれないけど。……なんとなく黙っていると。 「ごめん、当然一緒に居ようと思ってたから、話してこなかった」 「――――……」  ごめんって。なぜ謝る。  ……当然一緒にって。おかしいでしょ。  謝るとこでもないし。当然な訳じゃないし。と、色々ツッコミたいところはたくさんあるのだけれど。 (2022/12/30)

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