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第264話■番外編■クリスマス🎄3

 なんか色々考えて、オレが黙っていると。 「そっち、断ってくれる? デート、じゃなくてもいいから一緒に出掛けようよ」 「……お前は、予定ないの?」 「入れてない」  即答でそう言う。  ……入れてない。という言い方だときっと、入りそうな予定はあった、てことだよな。  まあ。あるよな。……モテてんのは半端ないし。  女の子だけじゃなくて、友達とかにも誘われるだろうし。 「何で、入れてないの」 「……だから今言ったじゃん。奏斗と一緒に居ると思ったって」 「……別に決まってないじゃん。約束もしてなかったし」  そう言うと。四ノ宮は少しの間黙ってからベットに入ってきて、オレが蓋をしめたペットボトルをベッドの枕元に置いた。そのまま、腕を引かれて、抱き締められてしまって……そのまま、ベッドに寝転ぶ。 「じゃあ今、約束しようよ」 「――――……」 「ちょっと遠出してさ、イルミネーション、見に行こ? そんで、ケーキ買って帰って来ようよ」  ……なんか、のんきな声で、そんなこと言ってる。  抱き締められて、寝るとか。抵抗もしないでそうされてるとか。ほんと何してんだろうと思うのだけれど。 「……ん」  なんとなく小さく、頷くと、クスクス笑う四ノ宮に、じゃあ早く寝よっか、と言われて。そのまま。すう、と、眠りについてしまうあたり。  ……なんかオレ、ほんと、よく、分からない。 ◇ ◇ ◇ ◇  クリスマスパーティは朝のうちに断ってしまった。  ――――……なんか。皆と遊ぶのもふも楽しいのに、どうしてだろ、なんて自分でも謎に思いながら。  車で一時間。  少し都会から外れた観光地に行って、日中はうろうろ散策して食事したり、神社に行ったり、水族館で遊んだり。  夕方から、イルミネーションを見てから帰ってきた。  めちゃくちゃ綺麗だったなあ、行って良かったー、なんてご機嫌のオレ。  デパ地下で、クリスマスっぽいもの買って帰って、家で食べようって話になった。 「四ノ宮、こっちー」 「ん?」 「ここのケーキが美味しそう。ここので良い?」 「いいよ。どこのでも」  二人でショーケースの前に並ぶ。 「サンタがのってるの可愛いな」 「トナカイ間抜けな顔してる」  二人で、同じケーキを指さして、全然別のことを言った。ふ、と笑ってしまう。 「もうこれでいいよね」  笑いながら、言うと、四ノ宮も頷いた。  たくさん並んでるのに、一瞬で決まった。そういうのって、なんとなく、嬉しい気も、する。 (2022/12/30)

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