260 / 542
第264話■番外編■クリスマス🎄3
なんか色々考えて、オレが黙っていると。
「そっち、断ってくれる? デート、じゃなくてもいいから一緒に出掛けようよ」
「……お前は、予定ないの?」
「入れてない」
即答でそう言う。
……入れてない。という言い方だときっと、入りそうな予定はあった、てことだよな。
まあ。あるよな。……モテてんのは半端ないし。
女の子だけじゃなくて、友達とかにも誘われるだろうし。
「何で、入れてないの」
「……だから今言ったじゃん。奏斗と一緒に居ると思ったって」
「……別に決まってないじゃん。約束もしてなかったし」
そう言うと。四ノ宮は少しの間黙ってからベットに入ってきて、オレが蓋をしめたペットボトルをベッドの枕元に置いた。そのまま、腕を引かれて、抱き締められてしまって……そのまま、ベッドに寝転ぶ。
「じゃあ今、約束しようよ」
「――――……」
「ちょっと遠出してさ、イルミネーション、見に行こ? そんで、ケーキ買って帰って来ようよ」
……なんか、のんきな声で、そんなこと言ってる。
抱き締められて、寝るとか。抵抗もしないでそうされてるとか。ほんと何してんだろうと思うのだけれど。
「……ん」
なんとなく小さく、頷くと、クスクス笑う四ノ宮に、じゃあ早く寝よっか、と言われて。そのまま。すう、と、眠りについてしまうあたり。
……なんかオレ、ほんと、よく、分からない。
◇ ◇ ◇ ◇
クリスマスパーティは朝のうちに断ってしまった。
――――……なんか。皆と遊ぶのもふも楽しいのに、どうしてだろ、なんて自分でも謎に思いながら。
車で一時間。
少し都会から外れた観光地に行って、日中はうろうろ散策して食事したり、神社に行ったり、水族館で遊んだり。
夕方から、イルミネーションを見てから帰ってきた。
めちゃくちゃ綺麗だったなあ、行って良かったー、なんてご機嫌のオレ。
デパ地下で、クリスマスっぽいもの買って帰って、家で食べようって話になった。
「四ノ宮、こっちー」
「ん?」
「ここのケーキが美味しそう。ここので良い?」
「いいよ。どこのでも」
二人でショーケースの前に並ぶ。
「サンタがのってるの可愛いな」
「トナカイ間抜けな顔してる」
二人で、同じケーキを指さして、全然別のことを言った。ふ、と笑ってしまう。
「もうこれでいいよね」
笑いながら、言うと、四ノ宮も頷いた。
たくさん並んでるのに、一瞬で決まった。そういうのって、なんとなく、嬉しい気も、する。
(2022/12/30)
ともだちにシェアしよう!