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第284話「悔しいけど」*奏斗※

「……奏斗」  後ろからめちゃくちゃ抱き締められて、密着される。 「……これじゃ、寝れない……」 「じゃあこっち向いて。それ、下におろして?」  笑いを含んでる、四ノ宮の声。  答えずに、ぎゅうっとぬいぐるみを抱き締めていると。動いた四ノ宮が、首筋に唇を押し付けてきた。 「っひゃ……」  なめられて、身を竦める。 「……後ろから好きにするからいいけど」  言いながら、四ノ宮はその手を、胸と下半身に滑らせた。 「や……」  服の上から乳首を擦って、首筋にちゅ、とキスを繰り返す。 「……っ」 「はは。……もう反応した。気持ちいい?」  ズボンの上から形をなぞるみたいに触れられて、とっさに腰を引いたら、四ノ宮の下半身に触れてしまう。  なんかもう、硬くなってるのが分かる。  ……っていうか……オレのは触られてるから、しょうがないけど、お前、なんでもうそんななの……。ていうか。 「今日、疲れてるって……」 「ん……だから、今日は、早くしよ……奏斗の準備出来たら、すぐ入れる……」 「……っぁ」  乳首をきゅ、とつまんでから、胸から手を離し、ベッドの上からローションを取ってきてる。 「……気持ちよくなって、寝よ」 「……っ……」  ぎゅうう、とぬぃぐるみにしがみつく。 「ほら。……よごれちゃうよ、その子」 「…………っっじゃあ、やめろよ……っ」 「絶対やめないから、離してこっち向いた方がいいと思うけどなぁ。……まあ、いいけど」  言った四ノ宮の指が、ぬる、と後ろに入った。 「あ……っ……」  なんかもう……たやすくそれを受け入れてしまう。  長い指が、ためらいなく、奥まで入ってきて……。 「……や、待っ……」 「ん?」 「…………っ……そっち、向く、から」  言うと、四ノ宮はクスッと笑って、一旦、指を抜いた。  悔しいけど。もう、なんか……無理。  ぬいぐるみを下に降ろすと、すぐに、脚をとられて、ズボンと下着を脱がされた。 「……キスしよ、奏斗」  なんか少し笑んだ口元が近づいてきて、キスしてくる。  ムカつく、と思って、口閉じたままでいると。ふ、と笑う気配がして、顎が取られる。 「怒んないでよ」 「……っだって、なんか……」 「犬の方ばっか向いてるからだよ。……別に今日、そのまま寝ても良かったのに」  苦笑いの四ノ宮。  え。何。オレがぬいぐるみの方見てなかったら、寝ててよかったの? なんだよ、それ、ほんとに意味が……。 「ていうか、犬ではないし……」 「つっこむとこ、そこなの?」  はは、と笑い出して、ちゅ、とキスされる。 「口開けて」  囁かれて、なぜか自然と薄く開いた唇に、舌が入ってくる。  熱い舌が絡んできて、めちゃくちゃ深く重なる。 「……ん……っふ……」  あっという間に、息が熱くなって……でも、なんか、悔しい。ゆっくり離されて、見つめ合う。 「……き、もち、よかったのに」 「え?」  オレが言うと、四ノ宮が見下ろしてくる。 「……ぬいぐるみ……」  恨めしく思いながらそう言うと、四ノ宮は、クッと笑いながら、オレの脚を広げさせた。 「……もっとよくしてあげるから」  ……四ノ宮が言ってるのと、ぬいぐるみ抱っこしてる気持ちよさは、まったく別物だし。 もうオレ、今日はぬいぐるみの気持ちいいで良かったのに。  そう言いたかったのに、四ノ宮が下の方に消えて行って、その指がまた中に押し込まれると同時に、オレのを口でくわえられて――――……いきなりの、強烈な感覚に、何も言えなくなった。

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