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第285話「熱く」*奏斗※

 逃げようとしても動けないまま、口と手で愛撫される。 「……んっ……」  ……何で、平気なんだろ。頭の隅で考える。  フェラする、とか……普通の男はしないというか、絶対、「出来ない」と思う。何回か、四ノ宮にされてるけど……される時は、めちゃくちゃしつこくされて、頭、おかしくなりそうになる。  前も後ろも、一気に快感を与えられて、全身、かぁっと熱くなる。 「ん……ッ……ん、ぁ……っ…………」 「先、イッていいよ……」  一度離して、そんなことを言ってくる。 「や、だ……離、せってば……っ」 「……出していいよ」 「……っやだ、や、……」  四ノ宮の口に出すのは嫌で、首を振る。 「…………っや、だ……ッ」  腰を引きたいのに、抑えられてて離せず、後ろの感じるところを刺激されて、抵抗も虚しく、結局イッてしまった。 「……っ……!!」  体、ビクビク震えるのが抑えられない。前もだけど、中も、気持ちよすぎて、四ノ宮の指をきつく締め付ける。締め付けたそれをまた無理無理動かされて、中をかき回されて、首を振る。 「……や、あ……っ……」  涙がにじんで、零れ落ちていく。  我慢できなかったそれを、しつこく舐めてた四ノ宮は、ふ、と口を拭うと、オレを見て、苦笑い。 「……エロすぎ……」  すり、と頬を撫でられる。 「顔真っ赤だし……泣いてるし。……中、欲しそうに締め付けるし」 「……ッ」 「……入れていい?」 「…………っっ嫌って言ったら……」 「んー……いや、入れるけど」 「……っじゃあ、聞くなよ……」  クスクス笑いながら言われると、なんだか悔しくて、憎まれ口をたたくけど、でも、緩く刺激されてる指にゾワゾワした快感が、上ってくる。 「……出来たら、OK欲しいし?」 「――――……」 「……キスしてもいい?」 「……やだ」  四ノ宮は、ふ、と笑う。 「全部、やだ?」 「……っ……ん、あっ」  後ろ、感じるところに触れられて、びく、と顎が上向いたら。  すぐ真上にあった四ノ宮の唇が、ゆっくりと重なってくる。 「……っふ……ぁ……」  ゆっくり、舐められて、舌を絡めとられる。   だから……それした後キスすんのやだって言ってんのに……。 「奏斗……まずい?」 「うん……」  思い切り頷くと、四ノ宮は可笑しそうに喉の奥で笑いながら、またキスしてくる。 「人のはなめるのにね」 「……自分のは、やだ……」  キスしながら、またクスクス笑ってくる。  嫌だとは言うけど……言うだけで。オレ、ちゃんと、抵抗できてない。それも、分かってるけど。 「……ん、ん……」  深くキスされて、真っ白な中、指が抜かれたそこにあてがわれて、ゆっくり、中に四ノ宮が入ってくる。 「……ん ん……ッあ……」 「……まだ痛い? もすこし慣らす?」  聞かれて、首を横に振る。  ……痛くはない。ていうか……。 「……ンん、ぁ……ッ」 「――――……気持ちいい?」  そう聞かれても、オレは、何も答えてないのに。 「……良さそう」    耳元で笑み交じりに囁く、四ノ宮の息が熱くて。  ゾクゾクして、余計熱くなる。

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