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第385話「ヤキモチ?」*大翔 ※

「大体さ、奏斗がオレと話してたって、他の誰もそんな変に思わないよ。意識してんの、奏斗だけだよ。側に居れば、変なのから守れるのにさ」  オレの言葉に、奏斗が、ぱっと上を向いて、オレを見上げてくる。  なんだか、あまりにまっすぐ見つめられて、オレは思わず勢いを失ってしまう。 「まあ、それでも気になるなら、明日までくらい離れてても、いいって思ってるけど」  言いながら、オレ、ほんと奏斗に弱いなぁ、なんて思ってたら。  奏斗が、眉を寄せて、少し首を傾げた。 「……意識、なんて」 「え?」  それきり、黙って、俯いてしまう。   しばらくそのまま。 「奏斗?」 「……ていうか。四ノ宮、楽しそうだよな」 「楽しそう? オレが?」  奏斗と離れてて、モヤモヤしてんのに? 「オレ、何が楽しそうだった?」 「え、だって……神社、行ったり」 「――――……え」  言ってから、オレの顔を見て、奏斗は口をつぐんだ。口元押さえて、俯く。  神社、行ったり?  …………里穂と?  何それ。何でいま、神社の話出てくんの? 「そろそろ、戻ろ」  言いかけた奏斗の腕を掴んで、引き寄せる。  そのまま、壁に奏斗の背を押し付けて、囲った。 「今のなに?」 「何、って?」 「楽しそう、とか」 「別に。……そう、思っただけ」  俯こうとする顎を捕らえて、上向かせる。 「ちゃんと言って?」 「仲、良さそう、だなと思っただけ」 「仲良くない。ただの友達。ゼミの仲間だよ」 「向こうは違うだろ。つか、ほんと、モテるなーと思っただけ……」 「確かに佑にそんなようなことは言われたけど」 「言われなくても分かるでしょ」 「悪いけど興味ないし」 「――――……」  なんか。こんな風に言われると。  ……ヤキモチ、焼かれてるみたいで。  めちゃくちゃ、死ぬほど、可愛いんですけど。 「……キスしていい?」 「は? やだ」  即答。だけど。   「少しだけ」 「やだって……」  何でそんな顔、するんだろ。  戸惑ってるみたいな、少し不安そうな。  でも、なんか、可愛い。――――……離すの、無理。  引き寄せて、唇を重ねる。  少しして、ん、と漏れた声に誘われるみたいに舌を絡めた。 「……っ……は……」  声、出したくない奏斗は、小さく、呼吸だけ。  ……なんかすごく、そそられる。  深く重ねて、口内に触れる。 「……ん、……っ……」  眉を寄せて、オレを薄く見る瞳は、超涙目。  ああ、もう、可愛いな。  抱き寄せて、動けないように腕の中に抱き込んで、深くキスする。 「……ん……っふ……」  小さく、首を振る。 「……も、や……」  顔を背けられるのだけれど。  意図的に、腰を引かれたことに気づくと、もう止められなくなる。 「……気持ちよくなった?」 「……っぁ……!」  奏斗のそこに触れると、反応してるのが分かる。 「……キス……しつこい、からだし……も、はなして」 「もう少し」 「……っ冗談でしょ、はなせ、てば……」  部屋着でベルトもないから、容易く手が入る。  すべすべ、奏斗の肌。感触を確かめながら、手を下に滑り込ませて、触れた。 「何考えて……馬鹿……しの……っ」  唇を重ねて、文句を閉じ込める。 「……っふ…………んん……」 「……なんかずっと離れてたから……触れるの嬉しいかも」 「ずっと……って……半日……」 「居るのに全然ちゃんと話せないしさ」 「……っぁ……」  奏斗のはもう熱くなってて、手に握りこむと、ますます固くなる。全身、ビクビク震えるの、可愛い。 「……っん……っ……や……」  ふるふる首を振るけど。 「良いよ、出しちゃって」 「……や……」 「もう収まんないでしょ。いいよ」 「――――……ッ……んッ……ぁ」  声、漏れないように、手で口を塞いでる。……このトイレ、音楽鳴ってるし、大丈夫だと思うんだけど。皆はきっと、向こうのトイレ行くと思うし。夜だから来客もないだろうかし。 「……ば、か……!」 「うん。ごめんね……」  苦笑しながら、奏斗の唇にキスをする。  それに、応えてくれちゃうから……調子に乗るんだけどね、オレ。

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