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第405話「一人で」*奏斗

 ……四ノ宮と、話して。  知らない奴に一夜で抱かれるなんてやめろって止められて。  なんかたくさん、泣いて。でも、大丈夫って、散々言ってもらって。  側に居てもらって。  それで、平気になったんだろうか。  オレを好きって。側に居るって。意味分からないくらい、構われて。 「――――……」  馬鹿宮とかキモ宮とか言ってたけど……。  ……四ノ宮のおかげ、なのかもしれない……。  ……でもなぁ。そうなると、思っちゃうのは……。  四ノ宮といることで、和希が薄れてもさ。  なんか、それは違うような気がするんだよな。  ……四ノ宮が居なくなったらまた、ああなんの?  て思うと。  本当は、四ノ宮が居てくれるからとか関係なく、オレが一人で、平気にならないといけないはず。  そもそも、四ノ宮と付き合ってる訳でもないし、そんなに頼りまくって、このままずっとこんなんな訳ないんだから。  やっぱり――――……和希と、会って、話して……友達皆にも会えるようになって……。そこがスタートになる気がする。  ……和希に、会う、か。  和希はオレに会って、何がしたいんだろう。  ……謝られたら。オレどうするんだろう。  いいよって、言えるかなオレ。  分かんないや。……泣くかな?   オレとよりを戻したいとか、無いとは思うけど。  ……そんなこと、もし平気で言われたら。オレの二年間。何だったのって、死にそうな気分になりそう。……やっぱ、なんも、聞きたくないかも……。  許せるかも分かんないし。  何を言われても、まだ……何も整理できてない。  でも。和希に振られて言われたことを、今日、普通に話せたのは。  少しだけ、前に……すすめたのかな。とは思う。  人に言えるってことは、自分の中だけで暗く暗く、抱えてたものを、少し外に出せたってことな気がするから。爆発しそうになっていた、オレの中の、どうにもできない、真っ黒なモヤモヤした気持ち。  椿先生も、リクさんも。  ……話してくれたことが、オレのモヤモヤを、また少し消してくれたような気がする。  二人に話せるようになったのは――――……。  もう間違いなく。四ノ宮、だよな……。  好きって。  ……好きって言われても。  応えられる気がしないし。  もし応えても、それが続くとは思えない。  だったら、何も、始めない方がいいと思う。  四ノ宮には感謝してる……と思う。  すごく。  ……ていうか。  四ノ宮の好きって、何???  なんて言ってたっけ……???  オレが、四ノ宮のことを一番好きになったらいいって。  ……恋人いらないって分かってるって言ってたってことは、恋人になりたいってこと……??  オレと、四ノ宮が、恋人???  はてなしか浮かばない。  ずっと居たい。  ……うーん。これは……オレも、なんだか居心地良くて困る位だし。四ノ宮もなんか、楽しそうにしてるように見えるから、ずっと居たいって思ってくれてるのは、分かる……ような?   でもそれって、今のでちょっと楽しいってだけで、ずっとって……。  これを、いくらでも話すから、とりあえず合宿の間は忘れてていいって言ってた。いくらでも話すって。  いくらでもかぁ……。  四ノ宮って。……圧が、強くて。   なんか、逃げれないんだよな。何でだろ?  なんだかもうとりとめもなくずーっと考えながら、電車から降りて、マンションまで歩く。  最近ほぼずっと四ノ宮が一緒なので、あんまり一人でこの道を歩くことすら少ない気がして、それに気づいて、ふー、と息を吐いた。  電話は鳴らないから、まだ帰ってないんだよな。  オレのが後から出たけど、食事行くって言ってたし、それから、皆を送って、だから。一年の子たちの家どこなんだろ。遠かったら、結構かかるんだろうし。  よし。やっぱり、先、寝てよ。  たまには、自分ちで、ゆっくり。もいいよね。  そういえば、なんか眠いなと思ったら、昨日あんまり寝てないし。  なんとなく二号が欲しい気もするんだけど。  いない時に入るのはやっぱり気が引ける。

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