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第414話「けじめ」*奏斗
「あの時は、四ノ宮がほんと心配しまくりだったから……」
大地はそんな風に言って、クスクス笑いながら、オレを見つめる。
「……あー。ごめん、な? 大地にも心配、かけたよな」
「大丈夫です。もとはと言えば、オレのうかつな言葉からってとこも、あるし……」
「お前のせいじゃないから」
そう言うと、大地はちょっと苦笑いで、困ったように頷く。
「……にしても、四ノ宮って、ほんと変な奴ですよね」
変な奴?
……って、思うってことは。
「……大地って、四ノ宮と仲いい?」
「え、全然? 仲良くはないですよ」
言いながらも、何だか笑っている大地。
「あいつの王子説って嘘だと思いません? どこが王子だって感じ。皆、まんまと騙されてますよね?」
そんな風に言う大地に、苦笑してしまう。
この感じだと……大地の前では、素なのかな、四ノ宮。
「まあでも、カナ先輩のこと大好きっつーのは一緒だから、とりあえずそこは認めてますけど……ってこういうこと勝手に言うとヤバそうだな……」
大地が最後の方ぶつぶつ言ってるけど。
……カナ先輩のこと大好き、って……。何それ。
「カナ先輩?」
「え?」
「なんか顔、赤いですけど」
「ぇ。赤くないけど」
「――――……」
赤くなってた? オレ。
ちょっと待って、何で。
「……今日暑いよね」
言いながら、手でパタパタしていると、オレをじっと見ていた大地が「もしかして」とオレをさらに覗き込む。
「な……なに?」
「告白でもされちゃいました? カナ先輩、大好き、とか」
大地は、あはは、と笑って言うけど。
……そうなんだよ、もう、こいつ、ほんとにこういう奴なんだよね……。
鋭いし。……すぐ口に出すし。
はあ、とため息をついてしまった。
「え。もしかしてほんとにそうですか?」
「ち、ちが……」
「あー、つかあいつ、ちょっと前まで認めなかったくせに、早やー」
オレの否定などものともせずに、話を進めてく。
「まあ必死って感じですかね、あ、でも、カナ先輩は、ちゃんと考えた方がいいですよ、王子はまやかしですからねっ」
クスクス笑いながら、大地は言う。
「あー、でも……オレ、何でかあいつのこと、気に入ってはいるんですけど。まあ同志ですしね」
「……同志って何の??」
不思議に思って聞くと、大地はニヤッと笑って、オレを見下ろす。
「えーと。カナ先輩を守る同志? みたいな。んー、合ってるかな。カナ先輩を可愛がる会? とか?」
「…………」
何言ってんだ、もう。どう返せばいいのやら。
「あ、オレ、四ノ宮のこととか、そこら辺だけは鉄壁の箝口令をしくんで、安心してくださいね」
「――――……」
もう辛うじて頷くしかない。
「……カナ先輩」
「ん?」
「オレ、こないだ、カズ先輩と話したんですけど」
「……」
「……もし、カナ先輩ができるなら、話、聞くのもありかなと思いました」
「――――……」
「って、もちろん、無理はしないでほしいですけど」
大地はそう言って、にっこり笑う。
「けじめ、つけるのも、ありかなって」
「――――……」
大地の言葉を聞きながら、オレは、ん、と小さく頷いた。
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