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第431話「響く」*奏斗 ※

「奏斗に触ってもいい?」 「だから……やだってば」 「……言うと思った」  なんか余裕の顔で、くす、と笑われる。 「やだって言うか……良くない気がするから」 「良くないって、誰にとって? 普通はってこと?」  クスクス笑いながら、オレの手を引いて引き寄せると。 「じゃあ、キスしよ? それで嫌なら、オレのこと止めて?」 「っだから、今もやだって」 「本気で嫌ならだよ」  そう言うと、傾けられた四ノ宮の顔が近づいてきて、唇が重なる。  まだ、優しい触れ方。  オレの様子を、ちゃんと見てるのが分かる。  本気で嫌ならって。……ずるいんだよ、四ノ宮。  オレ、本気で嫌がったこと、無い気がするし。  もともとオレってば、あんな風に会ってすぐの人達と、あんなことしてた位だし。どうしても嫌とか言えない感じもするし。  というか、何でか他の人が嫌になってしまってからも、四ノ宮のことは嫌じゃなくて。……多分、四ノ宮を本気で嫌がるとか無い気がする。  抵抗がなぜかできずに、柔らかい触れるだけのキスを受けて少しすると、舌が入ってきた。 「……ん……っぅ……」  四ノ宮のこういう時のキスは、すごく強引で激しいのに。でも、優しくて、甘い気がする。 「……は……ン、……」  そのままベッドに押し倒されて組み敷かれて。でもしばらくは、キスだけが続く。 「ん、ン……」  少し離れて息を吸うと、また塞がれる。  舌が絡んで、唾液が流れてくるのを、こく、と飲み込む。 「奏斗、好きだよ」 「――――」  唇の間で囁かれると、涙が滲む。  キスが、気持ちいいからもあるけど。  四ノ宮の声が。言葉が。  頭の中に甘く響いて、よくわからない感情が、胸に渦巻くから、な気がする。 「……ん……っ」 「奏斗……かわい……」  唇の間で囁かれながら。   頬に触れていた四ノ宮の手が、首筋を通って下に滑り落ちていく。  キスに応えたまま。体は、四ノ宮に与えられる刺激に、震えて反応してしまう。 「……ふ……ぁ」  本気で、良くないんじゃないかって思ってるのに。ていうか、今日だけじゃなくて、もう前から、こんなの変って思ってるのに。  ……四ノ宮にされるのは、気持ちよくて。  今までで一番。何で、こんなに。気持ちいいに包まれてるみたいな。こんな感じになるんだろ。 「……っん、んんっ……ぁ」  何も、考えられなくなって、気持ちいいしか、なくなっていく。  嫌と言うことも結局できず、散々愛撫されて、慣らされて。熱すぎる体を持て余したところで、頬にキスされて、「いれるよ」と囁かれた。 「っ……っ待っ……」  今、入れられたら、気持ちよくてヤバいかもしれない、なんて思って、思わず止めると。 「ごめん、無理。……息吸ってて」  ちゅ、とまた頬にキスされて、あてがわれた熱に、中を侵される。 「あ、あっ…… ン、ぁっ!」 「――奏斗」  ゆっくり中の方まで入れられたら、すぐイっちゃって仰け反るけれど、引き戻されて唇を塞がれた。 「……んん、ぅ、っ……」  何度も突きあげられて、気持ちよすぎておかしくなりそうで、四ノ宮にしがみついてしまう。しがみついた瞬間、四ノ宮は一瞬止まって。それから。 「あーもう……」 「……っん、ん……?」 「……可愛くてたまんない」  頬を挟まれて、至近距離から見つめられて、そんな風に言われると。  胸の奥がきゅ、と締め付けられるし。  また塞がれたキスにも、浮かされるみたいに応えてしまう。 「ん……ン、ん……」 「奏斗、腰動いてる……気づいてる?」  無意識だったけど、確かに快感を追おうとしていて。  かぁっと熱くなると、またキスされて舌が深く絡んできた。 「あ、っ……あっ……んん」  気持ちよすぎて捩った腰を捕まれると、体勢を変えてバックから突かれて、声が漏れる。 「……んんん、……っン」  四ノ宮の指が乳首に触れて、きゅ、と摘まむと、もう声も出ずに四ノ宮を締め付けて。気持ちよくて、ほんとに、頭まっしろで。 「奏斗……好き」 「……や……っ……あっ……ぁ、んんっ」  耳にキスされながら囁かれて。なんだか、奥に、響く。  ぎゅ、と目をつぶって。脚が突っ張って、全身に力が入って。  最後は声も出ず、イった。 「……ん、ふ……っ……」  は、と息呼吸を整えようとしていたら、脚を開かれて。 「オレまだイってないし――――まだ、付き合って」 「……っぁ……ん、ん……っ……あっ……」  仰向けにされて、また入れられて中を突き上げられると、気持ちイイを通り越して、怖いくらいで。また涙が零れてく。 「……や……っ……ぁぁっ」  四ノ宮に抱き付いて、ただ喘がされて。    好きとか、可愛いとか。  死ぬほど囁かれた気がする。

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