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第435話「パーティー色々」*奏斗
「雪谷くん。こんばんは。こないだはありがとうね。それから今日も、来てくれてありがとう。本当にとても似合ってるよ」
四ノ宮のお父さんが、オレの前に立って、そう言った。「いえ、こちらこそ、ありがとうございます」と笑うと、隣で、なんだかすごく可愛い感じの四ノ宮のお母さんが、オレを興味津々に見つめる。なんだかすごく若く見える。瑠美さんや四ノ宮のお母さんといわれても、パッと見、信じられないくらい。
「大翔と仲良くしてくれてるみたいで、ありがとう」
「雪谷奏斗です」
名乗ると、四ノ宮のお母さんはクスクス笑い出した。
「ふふ。主人がふたりのたこ焼きパーティーに乱入したって聞いておかしくて……しかも葛城も一緒にって」
可笑しそうに笑って、じっと見つめられる。
「潤が一目で気に入ったって瑠美が言ってたけど。分かる、とっても素敵」
あんまりまっすぐに褒められて、なんだかものすごく照れてしまう。
「潤、オレのとこ来ないよ、奏斗の方ばっかで」
「あら。今まであんなに大翔大好きだったのにねー」
からかうように言われた潤くんは「ヒロくんも好きだよ」と言う。「でも、ユキくん、大好き」なんて言って、皆に笑われてる。
「葛城、奏斗と潤が居やすいところに連れて行ってやって」
四ノ宮が葛城さんにそう言うと、葛城さんは、にっこり笑って頷く。
「じゃあ挨拶いってくるね」
「ユキくん、潤をよろしくね」
四ノ宮と瑠美さんがそう言うので頷くと、二人は四ノ宮のお父さんやお母さんの進んだ方に歩いていった。
「雪谷さん、テラスの方が居心地はいいと思うので……こちらです」
「あ、はい。潤くん、いこ」
「うん」
潤くんと一緒に葛城さんの後をついて、人の間をすり抜けていく。
「潤くんのお母さんも、四ノ宮も、皆、カッコいいね」
そう言うと、潤くんは嬉しそうに笑って頷く。
パーティーは四ノ宮の言っていた通り立食。テラスにはおしゃれな丸テーブルとイスが並んでいて、そこで食べることにした。
まだ始まったばかりなので、出席してる人たちは色々話をしてるみたいで、テラスにはほとんど人が居なかった。
葛城さんは、食べ物の取り方や飲み物の頼み方など、色々教えてくれてから、奥に入っていった。
「潤くん、何か取りに行こ?」
うふふ、と笑いながら頷く可愛い潤くんと、食べ物を取りに歩き始める。
「潤くん、今日はオレと一緒に居てね」
「うん! 楽しみにしてたのー」
満面の笑顔で言われると、とっても可愛い。微笑みながら、やっと周囲を見回す余裕が出てきた。
会場は広くて、たくさんの人が居る。
世の中にはこんなパーティーに出席する人達が、こんなに居るんだな。ていうか、こういうのって、テレビだけじゃないんだなぁ、とさっきからかなりのカルチャーショック。
お偉いさんの誕生パーティーとか、会社とかの創立記念パーティーとか、ドラマや映画とかには出てくるけど、実際出るのは初めて。縁がないもんね。
「あの……すみません、さっき紹介されてた方ですよね?」
「え?」
急に女の子たちに話しかけられて、一応頷くと、大学生ですか? どこの大学ですか? と、色々質問が飛んできた。
しばらくなんとなく答えていたのだけれど、連絡先がどうのこうの言い出したあたりで、ナンパなのかな? と気づいた。
大翔さんと一緒に、というセリフも聞こえるので、あ、もしかして、四ノ宮と連絡とりたいのかな、とも思いながら。
「今日はそういうのは……すみません。潤くん、ごめんね、いこ」
潤くんにそう言って、手を繋ぐと、それ以上は話しかけてはこなかった。ああ、潤くんと居ればって、四ノ宮が言ってたのってこういう意味か……。
同じようにちょこちょこ話しかけられて、なんとなく少しだけ会話してから、潤くんが居るから、と離れる。
ある程度、潤くんの好きな食べ物を取ってから、潤くんと一度テーブルに戻った時には、もう大分疲れていた。全く接点のない人に話しかけられるって、そういえば今まであんまりないことなのかも。向こうから見たら、社長の息子の友達、なのかな。スーツが似合うって褒めてもらえるのは、宣伝としては、役に立ったのかな? と良かった気もするんだけど……。
でも疲れるからもう誰とも目を合わせないようにしよ。なんとなく視線を感じて、目を合わせてしまうと話しかけられてしまう気がする。
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