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第476話「たくさんの」*奏斗 ※
「んんっ……あ……っ」
下からの快感が耐えられなくて、顔を逸らして、ぐ、と唇を噛んだ。
すると、耳に四ノ宮が唇を寄せる。
「恋人になって、初めてだもんね」
囁きながら、舌を耳の中に入れられると同時に、下に含まされた指でかき回されて、体中の熱が一気に上がる。
「ん、ふ……っ……ん、んん……」
ゾクゾクしすぎて耳は嫌、と、四ノ宮を涙目で見上げたら、また唇を塞がれる。
舌を、ヂュ、と吸われて、甘噛みされる。
……オレ、食われちゃうかもしれない。なんて思ってしまう。
「……ん、んん、ぅ……」
舌の付け根が少し攣るくらい吸われる激しいキスに翻弄されてる間に、指はどんどん増えていった。
奥の気持ちいいとこ擦られて、一緒にオレのも扱かれる。
「……や、……っぁっ……ン、あっ……」
またイっちゃって、頭のなかほんと真っ白。指を抜かれたと思ったら、すぐにあてがわれた四ノ宮のモノが、オレの中に入ってきた。
「……あ……ッん、……はっ……」
中を拡げながら、奥まで入ってくる快感に、ゾクゾクして、仰け反る。
途中で止まって、少し慣らされた後、そこから一気に突き上げられた。目の前がちかちか。電気が走ったみたいな感覚。
「……ンぁ……っ……あっ……しの……ッ」
覆いかぶさってきた四ノ宮の重みに、心が、喜ぶ。
そんなのが嬉しいなんて、初めて思った気がする。
「……あ、あっ……んっ」
さっきからひっきりなしに声が上がって、恥ずかしくて我慢しようと思うのだけれど、全然こらえきれない。
奏斗、と名を呼ばれて、抱き締められると、好きだって気持ちに、泣きそうになる。
「……し、のみや……ッ……」
四ノ宮の肩に手をかけて見上げると、またキスされる。
奥をトントン突かれると、背筋を快感が駆け上る。
「んん、ぅ、ん……っ」
腰を掴まれて、奥をぐりっと刺激されて、また仰け反った。
「あ……そ、こ……」
「ん。……気持ちイイ?」
「……うん……っ」
ぎゅ、と抱きつく。
四ノ宮の体は熱くて汗ばんでて。抱き付くと、気持ちいい。
きゅう、と胸が締め付けられる。
「……好き……しの、みや」
言いたくてしょうがなくて、そう言ったら、四ノ宮は、ん、と笑いを含んだ声で頷いてから、ぎゅう、と抱き締めてくれる。
「素直なの……オレ、ほんっとに、ヤバいんだけど……」
はぁ、と荒い息を抑えながら耳元でそう言って、それからオレを少し離させて、「奏斗?」と呼ぶ。ぎゅっとつむっていた目を開けて、四ノ宮を見ると、四ノ宮は「すっごいウルウルしてるし。可愛いなあ、もう……」と笑って、オレの瞼にキスをした。
キスが離れて、自然と四ノ宮を見つめると。
四ノ宮は、ふ、と微笑んだ。
「――――愛してるよ、奏斗」
そう言いながら、オレの手をとって、オレの顔の横で、ぎゅと重ねて握り締めた。その言葉に驚いたまま、見つめ合っていたら、ふっと涙が浮かんで、目の端から零れ落ちた。
「……奏斗?」
ちゅ、と涙を舐めとられる。
「……感動した?」
少し笑う四ノ宮に、からかうようにそう聞かれて、オレは、む、と唇を噛んだけど。
「……ん」
悔しいけどそうかも、と思って、むむ、と口を閉じたまま、小さく頷いた。
「はは。もう……ほんと、可愛すぎ……」
キスされて、舌が絡む。
律動が激しくなって、快感にのまれる。
「愛してる」
何度も何度も、囁かれた。
何度も何度も、抱かれながら、キスされながら囁かれ続けて。
言われるたびに、優しさに包まれるみたいで。
四ノ宮のことが、大好きすぎて。愛しすぎて。
離れなくて、良かった。
一緒に生きていけるんだ、って、すごく幸せで。
四ノ宮を何度も、深く受け入れて。
たくさんたくさんの、キスを、した。
(2023/11/21)
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